反転フラップ式案内表示機
反転フラップ式案内表示機(はんてんフラップしきあんないひょうじき、英: Split-flap display)とは、文字を上下に分割して印刷した複数のフラップを回転させることで表示を行う装置。変更稼働中の音から「パタパタ式」、開発者の名前から「ソラリー式」(近畿日本鉄道など一部の鉄道会社では「ソラリー」)ともいう。また、「多面反転表示式」ともいう[1]。
鉄道駅もしくは空港などにおいて、乗り物の行先や種別などを案内するために用いられているほか、ガソリンスタンドでも数字のみ使用されているケースもある。同じ構造を持つデジタル時計(置き時計や壁掛け時計など)も存在している(「パタパタ時計」を参照)。
目次
1 構造
2 利点と欠点
3 各国での利用
3.1 英語圏
3.2 日本
4 主なメーカー
5 ギャラリー
6 脚注
7 関連項目
構造
2枚の小さい円盤で数量計や行先表示盤などでは10 - 50枚程度、時計の分表示では60枚の同じ大きさの薄い板(フラップ)を挟む構造となっている[2]。このフラップが横長の場合には中間支持のために別に円盤が設けられていることも多い。
1枚のフラップには表面に文字・記号の下半分が、裏面に上半分が記載されており、フラップの一辺の延長上で円盤に支持され、2枚の円盤が縦方向に同期して回転することでフラップを反転させる。装置の上部にフラップを留める爪が設けられており、静止した時、フラップの1枚が上部で裏面を向け、表面を向けた下の1枚と組み合わせて、一連の文字・記号を表示させる仕組みとなっている。これを数字の桁や表示項目毎に複数組み合わせることで、全体として意味のある表示とさせている。
利点と欠点
日光の影響を受けると見づらい・約5年のバックライトの寿命で機器ごと交換・電力を消費する、というLCDに対し、屋外でも見やすい・駆動部以外は20年以上長持ちする・消費電力が低く省エネ、という長所がある[3]。
欠点は、表示の自由度が少なく情報を増やすには板をその都度作り直す、板の洗浄・駆動部の注油などのメンテナンス、などの手間が掛かることである[3]。
各国での利用
英語圏
英語圏ではアルファベット(と数字)だけで表記するため、フラップ自体を1文字ごとに分割させることで、表示パターンを増やしているものが多い。そのため、稼働中のものが比較的多く残っているが、老朽化などの理由で数を減らしていることには変わりがない。
日本
日本の鉄道駅では昭和30年前後にフラップ式の表示器が導入されるようになった[1]。
日本のテレビでは、『ザ・ベストテン』(TBS系列)で曲のランキング[3]、選挙開票速報でも候補者得票を視覚的に伝えるため同様の装置を使用していた時期がある[いつ?][4]。
日本の空港では、2000年代初頭よりLCDへ変わり数を減らしつつある[3]。しかし、東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)による福島第一原子力発電所事故で節電が叫ばれたことから、消費電力が低い本装置に目を向ける空港関係者が増えつつある[3]。
日本の鉄道駅でも同様に老朽化などの理由で減少が続いており、ターミナル駅では南海難波駅のものは関西空港開港前に設置されたもの(発車時刻・発車番線・列車種別と行先のみ、停車駅等は3色LEDで表示)が2016年まで使われていたが、こちらもLCDに置き換えられている。
2018年現在では伊丹空港や京急川崎駅などに残っている。
主なメーカー
- 新陽社
- 京三製作所
ギャラリー
南海難波駅北改札口で使用されていた発車案内表示機
東京国際空港で使用されていた到着案内表示機
近鉄近鉄難波駅(現・大阪難波駅)で使用されていた発車案内表示機
JR東日本盛岡駅で使用されていた発車案内表示機(1999年)
ガソリンスタンドなどで使用されていた反転式表示機
駅などで見られる日付と曜日を表示する手動型
拡大図(フランクフルト中央駅/2005年)
脚注
- ^ ab鉄道電化協会『電気鉄道技術発達史』1983年、345頁
^ 一位と十位を分割して動かす場合は10枚
- ^ abcde『空港をゆく』 イカロス出版〈イカロスMOOK〉、2013年。ISBN 978-4863207912。[要ページ番号]
^ 伊豫田康弘、田村穣生、煤孫勇夫、上滝徹也、野田慶人『テレビ史ハンドブック―読むテレビあるいはデータで読むテレビの歴史』自由国民社(1996年)、27頁
関連項目
- 発車標
- パタパタ時計
- クイズダービー
- ザ・ベストテン
- クイズ100人に聞きました
- THE夜もヒッパレ