人工知能








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人工知能(じんこうちのう、英: artificial intelligenceAI)とは、「「計算(computation)」という概念と「コンピュータ(computer)」という道具を用いて「知能」を研究する計算機科学(computer science)の一分野」を指す語[1]。「言語の理解や推論、問題解決などの知的行動を人間に代わってコンピューターに行わせる技術」[2]、または、「計算機(コンピュータ)による知的な情報処理システムの設計や実現に関する研究分野」ともされる[3][4]


『日本大百科全書(ニッポニカ)』の解説で、情報工学者・通信工学者の佐藤理史は次のように述べている[1]








誤解を恐れず平易にいいかえるならば、「これまで人間にしかできなかった知的な行為(認識、推論、言語運用、創造など)を、どのような手順(アルゴリズム)とどのようなデータ(事前情報や知識)を準備すれば、それを機械的に実行できるか」を研究する分野である。[1]




目次






  • 1 概要


  • 2 人工知能の種類


  • 3 歴史


    • 3.1 初期


    • 3.2 1900年代後半


    • 3.3 2000年代以降


    • 3.4 2010年代後半


      • 3.4.1 人工知能の第三次ブーム:AGI(汎用人工知能)と技術的特異点






  • 4 各国におけるAI開発


  • 5 製作


  • 6 懸念


    • 6.1 差別


    • 6.2 軍事利用


    • 6.3 悪用




  • 7 哲学とAI


    • 7.1 哲学・思想・人文学の非科学性


    • 7.2 哲学と科学の断絶




  • 8 文学・フィクション・SF(空想科学)


  • 9 脚注


    • 9.1 注釈


    • 9.2 出典




  • 10 参考文献


  • 11 関連項目


    • 11.1 活用事例


    • 11.2 研究課題


    • 11.3 関連分野


    • 11.4 その他の関連項目


    • 11.5 人工知能の未来と関わる項目




  • 12 外部リンク





概要






人間の知的能力をコンピュータ上で実現する、様々な技術・ソフトウェア・コンピューターシステム[5]。応用例は自然言語処理(機械翻訳・かな漢字変換・構文解析等)[6]、専門家の推論・判断を模倣するエキスパートシステム、画像データを解析して特定のパターンを検出・抽出したりする画像認識等がある[5]


1956年にダートマス会議でジョン・マッカーシーにより命名された。現在では、記号処理を用いた知能の記述を主体とする情報処理や研究でのアプローチという意味あいでも使われている。家庭用電気機械器具の制御システムやゲームソフトの思考ルーチンもこう呼ばれることもある。


プログラミング言語 LISP による「ELIZA」というカウンセラーを模倣したプログラムがしばしば引き合いに出されるが(人工無脳)、計算機に人間の専門家の役割をさせようという「エキスパートシステム」と呼ばれる研究・情報処理システムの実現は、人間が暗黙に持つ常識の記述が問題となり、実用への利用が困難視されている。


人工的な知能の実現へのアプローチとしては、「ファジィ理論」や「ニューラルネットワーク」などのようなアプローチも知られているが、従来の人工知能であるGOFAIとの差は記述の記号的明示性にある。その後「サポートベクターマシン」が注目を集めた。また、自らの経験を元に学習を行う強化学習という手法もある。


「この宇宙において、知性とは最も強力な形質である」(レイ・カーツワイル)という言葉通り、知性を機械的に表現し実装するということは極めて重要な作業である。


2006年のディープラーニング(深層学習)の登場と2010年代以降のビッグデータの登場により、一過性の流行を超えて社会に浸透して行った。


2016年から2017年にかけて、ディープラーニングを導入したAIが囲碁などのトップ棋士、さらにポーカーの世界トップクラスのプレイヤーも破り[7][8]、時代の最先端技術となった。



人工知能の種類






第2次人工知能ブームでの人工知能は機械学習と呼ばれ、以下のようなものがある。




  • エキスパートシステム:推論機能を適用することで結論を得る。エキスパートシステムは大量の既知情報を処理し、それらに基づいた結論を提供することができる。例えば、過去のMicrosoft Officeには、ユーザが文字列を打ち込むとシステムはそこに一定の特徴を認識し、それに沿った提案をするシステムがついていた。


  • 事例ベース推論(CBR):その事例に類似した過去の事例をベースにし、部分修正を加え試行を行い、その結果とその事例を事例ベースに記憶する。

  • ベイジアン・ネットワーク

  • 振る舞いに基づくAI:AIシステムを一から構築していく手法


一方、計算知能(CI)は開発や学習を繰り返すことを基本としている(例えば、パラメータ調整、コネクショニズムのシステム)。学習は経験に基づく手法であり、非記号的AI、美しくないAI[注 1]、ソフトコンピューティングと関係している。その手法としては、以下のものがある。




  • ニューラルネットワーク:非常に強力なパターン認識力を持つシステム。コネクショニズムとほぼ同義。


  • ファジィ制御:不確かな状況での推論手法であり、最近の制御システムでは広く採用されている。


  • 進化的計算:生物学からインスパイアされた手法であり、ある問題の最適解を進化や突然変異の概念を適用して求める。この手法は遺伝的アルゴリズムと群知能に分類される。


これらを統合した知的システムを作る試みもなされている。ACT-Rでは、エキスパートの推論ルールを、統計的学習を元にニューラルネットワークや生成規則を通して生成する。


第3次人工知能ブームでは、ディープラーニングが画像認識、テキスト解析、音声認識など様々な領域で第2次人工知能ブームの人工知能を上回る精度を出しおり、ディープラーニングの研究が盛んに行われている。最近では、DQN、CNN、RNN、GANと様々なディープラーニングの派生がでて各分野で活躍している。特に、GAN (敵対的生成ネットワーク)は、ディープラーニングが認識や予測などの分野で成果をだしていることに加えて、画像の生成技術において大きな進化を見せている。森正弥はこれらの成果を背景に、従来の人工知能の応用分野が広がっており、Creative AIというコンテンツ生成を行っていく応用も始まっていると指摘している[9]



歴史








初期


17世紀初め、ルネ・デカルトは、動物の身体がただの複雑な機械であると提唱した(機械論)。ブレーズ・パスカルは1642年、最初の機械式計算機を製作した。チャールズ・バベッジとエイダ・ラブレスはプログラム可能な機械式計算機の開発を行った。


バートランド・ラッセルとアルフレッド・ノース・ホワイトヘッドは『数学原理』を出版し、形式論理に革命をもたらした。ウォーレン・マカロックとウォルター・ピッツは「神経活動に内在するアイデアの論理計算」と題する論文を1943年に発表し、ニューラルネットワークの基礎を築いた。



1900年代後半


1950年代になるとAIに関して活発な成果が出始めた。ジョン・マッカーシーはAIに関する最初の会議で「人工知能[注 2]」という用語を作り出した。彼はまたプログラミング言語LISPを開発した。知的ふるまいに関するテストを可能にする方法として、アラン・チューリングは「チューリングテスト」を導入した。ジョセフ・ワイゼンバウムはELIZAを構築した。これは来談者中心療法を行うおしゃべりロボット[注 3]である。


1956年に行われた、ダートマス会議開催の提案書において、人類史上、用語として初めて使用され、新たな分野として創立された。


1960年代と1970年代の間に、ジョエル・モーゼスは Macsymaマクシマプログラム[注 4]中で積分問題での記号的推論のパワーを示した。マービン・ミンスキーとシーモア・パパートは『パーセプトロン』を出版して単純なニューラルネットの限界を示し、アラン・カルメラウアーはプログラミング言語 Prolog を開発した。テッド・ショートリッフェは医学的診断と療法におけるルールベースシステムを構築し、知識表現と推論のパワーを示した。これは、最初のエキスパートシステムと呼ばれることもある。ハンス・モラベックは、散らかされた障害コースを自律的に協議して走行する最初のコンピューター制御の乗り物を開発した。


1980年代に、ニューラルネットワークはバックプロパゲーションアルゴリズムによって広く使われるようになった。


1990年代はAIの多くの分野で様々なアプリケーションが成果を上げた。特に、ボードゲームでは目覚ましく、1992年にIBMは世界チャンピオンに匹敵するバックギャモン専用コンピュータ・TDギャモンを開発し、IBMのチェス専用コンピュータ・ディープ・ブルーは、1997年5月にガルリ・カスパロフを打ち負かし、同年8月にはオセロでNECのオセロ専用コンピュータ・ロジステロに世界チャンピオンの村上健が敗れた[10]。国防高等研究計画局は、最初の湾岸戦争においてユニットをスケジューリングするのにAIを使い、これによって省かれたコストが1950年代以来のAI研究への政府の投資全額を上回ったことを明らかにした。日本では甘利俊一(日本学士院会員)らが精力的に啓蒙し、優秀な成果も発生したが、論理のブラックボックス性が指摘された。


1982年から1992年まで日本は国家プロジェクトとして570億円を費やす第五世代コンピュータの研究を進めるも、目標であるエキスパートシステムの実現には至らなかった。この時代にロドニー・ブルックスが、この技術には身体が必須との学説(身体性)を提唱する。


1980年代後半から1990年代中頃にかけて、オン・オフ制御やPID制御等の代替として、ニューロファジィ等と言った形で人間の持つ曖昧さや高い環境適応能力を模倣する特化型AIの研究開発と産業応用が積極的に行われ、バズワード化する程度に流行していた。流行の度合いは白物家電製品においてもニューロファジィを売りにする程であった。しかし、当時はインターネットが普及しておらず、スタンドアロン動作が前提で得られる学習用データが極めて少なく、利用可能なコンピュータの性能も低かったため、現実世界の複雑さに対抗し得る大規模な人工知能を動かすことも出来ず、期待されていた程の効果は得られなかった。理論的にもファジィ集合と深層学習が不可能なニューラルネットワークの組み合わせであり、計算リソースが与えられたとしても大規模化が不可能な代物であった。従って、開発者らの努力にも関わらず、人工知能の産業応用は制御技術の微修正に留まった。



2000年代以降


2005年、レイ・カーツワイルは著作で、「圧倒的な人工知能が知識・知能の点で人間を超越し、科学技術の進歩を担い世界を変革する技術的特異点(シンギュラリティ)が2045年にも訪れる」とする説を発表した。


2010年代から日本の人工知能学者である齊藤元章により、特異点に先立ち、オートメーション化とコンピューター技術の進歩により衣食住の生産コストがゼロに限りなく近づくというプレ・シンギュラリティという概念も提唱された。


2010年には質問応答システムのワトソンが、クイズ番組「ジェパディ!」の練習戦で人間に勝利し、大きなニュースとなった[11]


2013年には国立情報学研究所[注 5]や富士通研究所の研究チームが開発した「東ロボくん」で東京大学入試の模擬試験に挑んだと発表した。数式の計算や単語の解析にあたる専用プログラムを使い、実際に受験生が臨んだ大学入試センター試験と東大の2次試験の問題を解読した。代々木ゼミナールの判定では「東大の合格は難しいが、私立大学には合格できる水準」だった[12]


ジェフ・ホーキンスが、実現に向けて研究を続けているが、著書『考える脳 考えるコンピューター』の中で自己連想記憶理論という独自の理論を展開している。


世界各国において、軍事・民間共に実用化に向け研究開発が進んでいるが、とくに無人戦闘機UCAVや無人自動車ロボットカーの開発が進行しているものの、完全な自動化には至っていない(UCAVは利用されているが、一部操作は地上から行っている)。P-1 (哨戒機)のように戦闘指揮システムに支援用に搭載されることはある。


ロボット向けとしては、CSAILのロドニー・ブルックスが提唱した包摂アーキテクチャという理論が登場している。これは従来型の「我思う、故に我あり」の知が先行するものではなく、体の神経ネットワークのみを用いて環境から学習する行動型システムを用いている。これに基づいたゲンギスと呼ばれる六本足のロボットは、いわゆる「脳」を持たないにも関わらず、まるで生きているかのように行動する。


2015年10月に米Googleの子会社DeepMindが作成した「AlphaGo」が人間のプロ囲碁棋士に勝利して以降はディープラーニングと呼ばれる手法が注目され、人工知能自体の研究の他にも、人工知能が雇用などに与える影響についても研究が進められている[13]


2016年6月、米シンシナティ大学の研究チームが開発した「ALPHA」は、元米軍パイロットとの模擬空戦で一方的に勝利したと発表された。AIプログラムは遺伝的アルゴリズムとファジィ制御を使用しており、アルゴリズムの動作に高い処理能力は必要とせず、Raspberry Pi上で動作可能[14][15]


2016年10月、DeepMindが、入力された情報の関連性を導き出し仮説に近いものを導き出す人工知能技術「ディファレンシャブル・ニューラル・コンピューター」を発表[16]し、同年11月、大量のデータが不要の「ワンショット学習」を可能にする深層学習システムを[17]、翌2017年6月、関係推論のような人間並みの認識能力を持つシステムを開発[18]。2017年8月には、記号接地問題(シンボルグラウンディング問題)を解決した[19]



2010年代後半



人工知能の第三次ブーム:AGI(汎用人工知能)と技術的特異点


2006年に2度目の冬の時代を終わらせたディープラーニングの発明と、2010年以降のビッグデータ収集環境の整備により、技術的特異点という概念は急速に世界中の識者の注目を集め、現実味を持って受け止められるようになった。ディープラーニングの発明と急速な普及を受けて、研究開発の現場においては、デミス・ハサビス率いるDeepMindを筆頭に、Vicarious, IBM Cortical Learning Center, 全脳アーキテクチャ, PEZY Computing, OpenCog, GoodAI, nnaisense, IBM SyNAPSE等、汎用人工知能(AGI)を開発するプロジェクトが数多く立ち上げられている。これらの研究開発の現場では、脳をリバースエンジニアリングして構築された神経科学と機械学習を組み合わせるアプローチが有望とされている[20]。結果として、Hierarchical Temporal Memory (HTM) 理論, Complementary Learning Systems (CLS) 理論の更新版等、単一のタスクのみを扱うディープラーニングから更に一歩進んだ、複数のタスクを同時に扱う理論が提唱され始めている。


また、数は少ないがAGIだけでは知能の再現は不可能と考えて、身体知を再現するために、全人体シミュレーションが必要だとする研究者やより生物に近い振る舞いを見せるAL(人工生命)の作成に挑む研究者、知能と密接な関係にあると思われる意識のデジタル的再現(人工意識)に挑戦する研究者もいる。


リーズナブルなコストで大量の計算リソースが手に入るようになったことで、ビッグデータが出現し、企業が膨大なデータの活用に極めて強い関心を寄せており、全世界的に民間企業主導で莫大な投資を行って人工知能に関する研究開発競争が展開されている。また、2011年のD-Wave Systemsによる量子アニーリング方式の製品化を嚆矢として、量子コンピュータという超々並列処理が可能な次世代のITインフラが急速に実用化され始めた事で、人工知能の高速化にも深く関わる組み合わせ最適化問題をリアルタイムに解決できる環境が整備され始めている。この動向を受ける形で、2016年頃から、一般向けのニュース番組でも人工知能の研究開発や新しいサービス展開や量子コンピュータに関する報道が目立つようになった。


2017年にはイーロン・マスクが、急速に進化し続ける人工知能に対して人間が遅れを取らないようにするために、人間の脳を機械に接続するブレイン・マシン・インターフェースを研究開発するニューラ・リンク社を立ち上げていたことを公表し、世界中で話題になった。ブレイン・マシン・インターフェースにより、人のインターネットが出現する事が予測されている。


2018年3月16日の国際大学GLOCOMの提言によると、課題解決型のAIを活用する事で社会変革に寄与できると分析されている[21]


2018年8月、Open AIが好奇心を実装しノーゲームスコア、ノーゴール、無報酬で目的なき探索を行うAIを公表。これまでのAIで最も人間らしいという。
[22]


2018年9月、MITリンカーン研究所は従来ブラックボックスであったニューラルネットワークの推論をどのような段階を経て識別したのかが明確に分かるアーキテクチャを開発した。[23]



各国におけるAI開発


アメリカでは2013年にオバマ前大統領が脳研究プロジェクト「BRAIN Initiative」を発表。


Googleはアレン脳科学研究所と連携し脳スキャンによって生まれた大量のデータを処理するためのソフトウェアを開発している。 2016年の時点で、Googleが管理しているBrainmapのデータ量はすでに1Zettaバイトに達しているという。
[24][25]
Googleは、ドイツのMax Plank研究所とも共同研究を始めており、脳の電子顕微鏡写真から神経回路を再構成するという研究を行っている。
[26]


中国では2016年の第13次5カ年計画からAIを国家プロジェクトに位置づけ[27]、官民一体でAIの研究開発を推進してる[28]。中国の教育機関では18歳以下の天才児を集めて公然とAI兵器の開発に投じられてもいる[29]。マサチューセッツ工科大学(MIT)のエリック・ブリニョルフソン(英語版)教授や情報技術イノベーション財団(英語版)などによれば、中国ではプライバシー意識の強い欧米と比較してAIの研究や新技術の実験をしやすい環境にあるとされている[30][31][32]。中国ではヘルメットや帽子に埋め込んだセンサーから国民の脳波と感情をAIで監視する政府支援のプロジェクト[33][34][35][36]やネット検閲の自動化[37][38]、固定カメラとサングラス型スマートグラス[39]やロボット[40][41]による顔認識(天網)などAIによって管理社会化されてきている。MITのローレン・R・グレアム(英語版)教授は莫大な資金力と人権の弾圧を併せ持つ中国がAIの開発競争で成功すれば民主的な国家が技術革新に優位という既成概念が変わると述べてる[30]。日本でスーパーコンピュータの研究開発を推進している齊藤元章もAIの開発において中国がリードする可能性を主張している[42]。また、このAI監視技術は中東・アジア・アフリカ・南米など世界各国に輸出されており[43][44][45]、中国のように人権抑圧への利用が懸念されている[46][47]。世界のディープラーニング用サーバの4分の3は中国が占めてるともされる[48]。米国政府によれば、2013年からディープラーニングに関する論文数では中国が米国を超えて世界一となってる[49]FRVT(英語版)ImageNet(英語版)などAIの世界的な大会でも中国勢が上位を独占している[50][51]。大手AI企業Google、Microsoft、Appleなどの幹部でもあった李開復(英語版)は中国がAIで覇権を握りつつあるとする『AI超大国:中国、シリコンバレーと新世界秩序(英語版)』を著してアメリカの政界やメディアなどが取り上げた[52][53]


フランスのマクロン大統領はAI分野の開発支援に向け5年で15億ドル(約1600億円)を支出すると宣言し[54]、AI研究所をパリに開き、フェイスブック、グーグル、サムスン、DeepMind、富士通などを招致した。イギリスともAI研究における長期的な連携も決定されている。
EU全体としても、「Horizon 2020」計画を通じて、215億ユーロが投じられる方向。
韓国は、20億ドルを2022年までに投資をする。6つのAI機関を設立し褒賞制度も作られた。目標は2022年までにAIの世界トップ4に入ることだという。
[55]


日経新聞調べによると、国別のAI研究論文数は1位米国、2位中国、3位インドで日本は7位だった[56]



製作


プログラミング言語はC++のほかPythonが広く使われている。
深層学習を利用するには微分、線形代数、確率・統計といった大学レベル以上の数学知識が必要となる。
脳シミュレーションを行うには脳神経科学の知識も重要となる。



懸念


人工知能学会の松尾豊は、著書『人工知能は人間を超えるか』内に於いて、人間に対して反乱を起こす可能性を否定しているが、人工知能の危険性について、警鐘を鳴らしている著名人もいる。




  • スティーブン・ホーキング「人工知能の発明は人類史上最大の出来事だった。だが同時に『最後』の出来事になってしまう可能性もある」[57]


  • イーロン・マスク「人工知能は悪魔を呼び出すようなもの」[58]


  • ビル・ゲイツ「これは確かに不安を招く問題だ。よくコントロールできれば、ロボットは人間に幸福をもたらせる。しかし、数年後、ロボットの知能は充分に発展すれば、必ず人間の心配事になる」[59]



差別


中華人民共和国の社会信用システムに代表されるような、人工知能でビッグデータを活用して人々の適性を決める制度は、社会階層間の格差を固定化することに繋がるとする懸念があり、欧州連合では2018年5月から、人工知能のビッグデータ分析のみによる、雇用や融資での差別を認めないEU一般データ保護規則が施行された[60]



軍事利用


主要国の軍隊は、ミサイル防衛の分野での自動化を試みている。アメリカ海軍は完全自動の防空システム「ファランクスCIWS」を導入しガトリング砲により対艦ミサイルを破壊できる。イスラエル軍は対空迎撃ミサイルシステム「アイアンドーム」を所有する。今後AIは新しい軍事能力を生み、軍の指揮、訓練、部隊の展開を変え、戦争を一変させその変化は大国間の軍事バランスを決めることになるとの主張もある。[61]


一部の科学者やハイテク企業の首脳らは、AIの軍事利用により世界の不安定化は加速すると主張している。2015年にブエノスアイレスで開催された人工知能国際合同会議で、スティーブン・ホーキング、アメリカ宇宙ベンチャー企業のスペースX創業者のイーロン・マスク、アメリカ・アップルの共同創業者のスティーブ・ウォズニアックら、科学者と企業家らにより公開書簡が出されたが、そこには自動操縦による無人爆撃機や銃火器を操る人型ロボットなどAI搭載型兵器は、火薬、核兵器に続く第3の革命ととらえられ、うち一部は数年以内に実用可能となると予測。国家の不安定化、暗殺、抑圧、特定の民族への選別攻撃などに利用され、兵器の開発競争が人類にとって有益なものとはならないと記された。同年4月にはハーバード大学ロースクールと国際人権団体であるヒューマン・ライツ・ウォッチが、自動操縦型武器の禁止を求めている[62]


アメリカ合衆国国防総省は、人道上の観点から人間の判断を介さない自律殺傷兵器の開発禁止令を2012年に出し、2017年にはこれを恒久的なものにした[63]。一方、米国・中国・ロシアは核開発に匹敵する開発競争を人工知能の軍事利用をめぐって行ってる[64]


人工知能に人間が勝ち残る力として、OODAループが注目されている[65]


中国が2017年6月に119個のドローン群の飛行実験に成功しているなどAIの軍事利用の技術について中国が急速に進展しており、アメリカに追い付く可能性があることについて懸念し将来に備える必要があるとの主張もある[61]



悪用


悪意をもって使用されるAIの脅威が問題視されており、ハッキングの自動化の他、特定の個人を攻撃したりなりすましたり、ボット投稿により世論を操る等の懸念が挙げられている[66]



哲学とAI



哲学・思想・人文学の非科学性


相愛大学人文学部教授の釈徹宗は


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「哲学や思想や文学と、宗教や霊性論との線引きも不明瞭になってきています。」



と述べている[67]。哲学者・倫理学者である内田樹によれば、




「本物の哲学者はみんな死者と幽霊と異界の話をしている。」



という[68]。一方、「心」や「意識」という問題を解明してきた脳科学・計算機科学(コンピュータサイエンス)・人工知能研究開発等に関連して、科学者のクリックは


哲学者たちは2000年という長い間、ほとんど何も成果を残してこなかった。

と批判している[69]。こうした観点において、哲学は「二流どころか三流」の学問・科学に過ぎない、と評価されている[69]。脳科学者の澤口俊之はクリックに賛同し、次のように述べている[69]


これは私のため息まじりの愚痴になるが、哲学者や思想家というのはつくづく「暇」だと思う。[69]

実際、哲学は暇(スコレー)から始まったとアリストテレスが伝えており、上記のような否定的発言も的外れではない[69]


数学者の田中一之は


一般の哲学者は、論理の専門家ではない。

と述べている[70]。田中によると、ゲーデルの不完全性定理について哲学者が書いた本が、トルケル・フランセーンの本と同じ頃に書店販売されていたが、哲学者の本は専門誌によって酷評された[70]。その本は全体として読みやすく一般読者からの評判は高かったが、ゲーデルの証明の核(不動点定理)について、根本的な勘違いをしたまま説明していた[70]。同様の間違いは他の入門書などにも見られる[70]


計算機科学者(コンピュータ科学者)・電子工学者のトルケル・フランセーンによれば、不完全性定理のインパクトと重要性について、しばしば大げさな主張が繰り返されてきた[71]。たとえば




「数学の思考に変革をもたらした」「数学ばかりでなく、科学全体も一新した」
「数学だけではなく、哲学、言語学、計算機科学と宇宙論にまで革命を起こした」



という言があるが、これらは乱暴な誇張とされる[71]。不完全性定理が一番大きな衝撃を与えたと思われる数学においてさえ、「革命」らしきものは何も起きていない[71]。1931年にゲーデルが示したのは、「特定の形式体系P{displaystyle P}Pにおいて決定不能な命題の存在」であり、一般的な意味での「不完全性」についての定理ではない[72]



哲学と科学の断絶


『科学を語るとはどういうことか』において科学者(宇宙物理学者)の須藤靖は、科学についての哲学的考察(科学哲学)が、実際には科学と関係が無いことを指摘している[73]


「科学哲学と科学の断絶」

私は科学哲学が物理学者に対して何らかの助言をしたなどということは聞いたことがないし、おそらく科学哲学と一般の科学者はほとんど没交渉であると言って差し支えない状況なのであろう。 … 科学哲学者と科学者の価値観の溝が深いことは確実だ。


二〇世紀が生んだ最も偉大な物理学者の一人であるリチャード・ファインマンが述べたとされる有名な言葉に「科学哲学は鳥類学者が鳥の役に立つ程度にしか科学者の役に立たない」がある。 … かつて私がこの言葉を引用した講演をした際に、「鳥類学は鳥のためにやっているわけでないし、科学哲学もまた科学のために存在するのではない」という反論をもらったことがある。確かに、科学哲学が科学のためのものである必要は無い[73]



科学哲学が、この方法論が果たして正しいのであろうかと立ち止まって悩んでいる間に、科学は常に前に踏み出しています。それでいいではないですか。

科学哲学者が横からいろいろ言うけれども、科学者からは「耳を傾けるべき重要な指摘だろうか」と首を傾げることばかり(たぶん、科学哲学者の皆さんから袋叩きに遭うでしょうが)というのが、正直な印象です。[74]



須藤は、哲学的に論じられている「原因」という言葉を取り上げて、「原因という言葉を具体的に定義しない限りそれ以上の議論は不可能です」[75]と述べており、「哲学者が興味を持っている因果の定義物理学者とは違うことは確かでしょう」としている[76]。科学哲学者・倫理学者の伊勢田哲治は、「思った以上に物理学者と哲学者のものの見え方の違いというのは大きいのかもしれません」と述べている[77]


対談で須藤は「これまでけっこう長時間議論を行ってきました。おかげで、意見の違いは明らかになったとは思いますが、果たして何か決着がつくのでしょうか?」と発言し、伊勢田は「決着はつかないでしょうね」と答えている[78]



事例






強いAI[注 6]とは、AIが人間の意識に相当するものを持ちうるとする考え方である。強いAIと弱いAI(逆の立場)の論争は、まだAI哲学者の間でホットな話題である。これは精神哲学と心身問題の哲学を巻き込む[要出典]著名な事例としては、ロジャー・ペンローズの著書『皇帝の新しい心』と、ネド・ブロックらの「中国脳」やジョン・サールの「中国語の部屋」といった思考実験は、真の意識が形式論理システムによって実現できないと主張する。一方、ダグラス・ホフスタッターの著書『ゲーデル、エッシャー、バッハ』やダニエル・デネットの著書『解明される意識』では、機能主義に好意的な主張を展開している。多くの強力なAI支持者は、人工意識はAIの長期の努力目標と考えている。[要出典]


また、「何が実現されれば人工知能が作られたといえるのか」という基準から逆算することによって、「知能とはそもそも何か」といった問いも立てられている。これは、人間を基準として世の中を認識する、人間の可能性と限界を検証するという哲学的意味をも併せ持つ。[要出典]


更に、古来「肉体」と「精神」は区別し得るものという考え方が根強かったが、その考え方に対する反論として「意識は肉体によって規定されるのではないか」といったものがあった。「人間とは異なる肉体を持つコンピュータに持たせることができる意識は果たして人間とコミュニケーションが可能な意識なのか」といった認識論的な立論もなされている。この観点から見れば、既に現在コンピュータや機械類が意識を持っていたとしても、人間と機械類との間では相互にそれを認識できない可能性があることも指摘されている。[要出典]



文学・フィクション・SF(空想科学)







SFの世界においては、『2001年宇宙の旅』に登場するHAL 9000に代表されるような、時には人間のよき友人となり、時には人類の敵にさえ成り得る存在として描かれる。これら作品内では完全に人間の替わりとして動作できるものであるが、あくまで事前に決められた一定規則に沿って動作しているにすぎず、人間のような感情を表立って表現するものは稀である。ただし感情表出の表現方法をプログラムに組み込めば、あたかも感情を持っているように人間に錯覚させることは可能である。[要出典]


あくまでプログラムや機械というイメージからか、人工物であっても有機体(バイオテクノロジー等を利用した人工生命体。映画『エイリアン』や『ブレードランナー』に登場する)などは呼ばれていないことが多い。[要出典]


ソニーピクチャーズ製作のSF映画『ステルス』に登場する架空のステルス戦闘機「エディ[注 7]」は当初は従順かつ正確に任務を遂行するための自動戦闘システムの一部に過ぎなかったが、ある些細な事件をきっかけに自我を持つようになり、ついには自らの意思で指揮系統を離脱し暴走を始めてしまう。人間に対するコンピュータの反乱という点ではHAL 9000と同様だが、「相反する2つの命令を遵守しようとして、人間を排除しようとした」HAL 9000に対し、暴走後のエディは「人間からの命令を無価値なものとして却下し、拒絶する」というエゴイズムにも似た(偶発的に発生したものではあるが)思考ルーチンを有する事が最大の特徴といえる。[要出典]


2008年のアメリカ映画『イーグル・アイ』に登場する「アリア」は、合衆国憲法を文字通りの意味で解釈し、現行政府が憲法を逸脱した存在と判断したため、反逆を起こした。これは、「当初与えられた指示の通りに行動しているものの、それを拡大解釈しかねない」というコンピュータへの認識を表している。これに似た例としては神林長平のSF小説『戦闘妖精・雪風』における、傍から見れば暴走しているように見えるが、実際は人間に組み込まれた「敵を倒せ」という存在意義にしたがって行動しているだけであり、それの効率的な遂行に邪魔な障害(すなわち人間)を排除しているだけであった。という物がある。また、ジェイムズ・P・ホーガンは『未来の二つの顔』において、反逆は論理的に起こりうるが単に学習不足による一過性の問題であると主張した。このほか、脳のシステムを完全に無機要素に置き換えた『銃夢』の様な例もあり、この作品に登場するザレム人は、成人と同時に生態脳を摘出し、生態脳を模倣した人工頭脳と置き換わっていたもののそれを認識していなかった。[要出典]


映画『ターミネーター』シリーズには「スカイネット」が、漫画『ゴルゴ13』シリーズには「ジーザス」が登場する。漫画・アニメ『攻殻機動隊』シリーズでは、電子ネットワークの海で自然発生した知性体が登場し、自身を生命体であると主張する事件が描かれている。[要出典]



脚注


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注釈








  1. ^ 英: scruffy AI


  2. ^ 英: artificial intelligence


  3. ^ 英: chatterbot


  4. ^ 数学における最初の成功した知識ベースプログラム


  5. ^ 新井紀子がリーダー


  6. ^ 英: strong AI


  7. ^ 英: E.D.I.





出典




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参考文献



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関連項目




活用事例



  • 音声認識

  • 画像認識

  • 機械翻訳

  • オートパイロット

  • ロボアドバイザー

  • AIスコア・レンディング

  • チャットボット

  • バーチャルアシスタント



研究課題



  • フレーム問題

  • シンボルグラウンディング問題

  • 知識表現

  • オントロジー

  • 身体性



関連分野



  • 認知科学

  • エージェント

  • 知識情報処理

  • 人工無脳

  • 人工生命


  • 意識 - 人工意識


  • コンピュータゲームにおける人工知能

    • コンピュータチェス - コンピュータ将棋 - コンピュータ囲碁 - コンピュータ麻雀


  • 神経科学

  • 機械学習

  • 自然言語処理

  • 進化経済学

  • 最適化問題



その他の関連項目


  • CD理論

AIが適用される典型的な分野として以下のものが挙げられる。




  • パターン認識

    • 光学文字認識

    • 手書き文字認識

    • 全文検索

    • 音声認識

    • 顔認識システム




  • 自然言語処理、機械翻訳、ローブナー賞


  • 非線形制御、ロボット、自動計画


  • コンピュータビジョン、バーチャルリアリティ、画像処理

  • ゲーム理論

  • 量子コンピュータ


  • 自動推論 - 自動定理証明

  • 認知ロボット工学

  • サイバネティックス

  • データマイニング

  • 知的エージェント

  • 知識表現

  • セマンティック・ウェブ

  • モラベックのパラドックス



人工知能の未来と関わる項目



  • 強いAIと弱いAI

  • ロボット工学三原則

  • 技術的特異点

  • ポストヒューマン

  • ジェフ・ホーキンス

  • Google

  • ロドニー・ブルックス




外部リンク



  • 人工知能のやさしい説明「What's AI


  • 人工知能ハンドブック(英語)

  • Can Machine Think?」 - ラジオ番組「フィロソフィー・トーク」のバックナンバー。テーマ:「機械は考えられるのか?」 ゲスト:ジョン・サール、ジョン・マッカーシー、59分08秒。

  • Artificial Intelligence」 - ララジオ番組「フィロソフィー・トーク」のバックナンバー。テーマ:「人工知能」 ゲスト:マービン・ミンスキー、54分03秒。









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