潜水艇




潜水艇(せんすいてい)は、水中で活動可能な船のことである。


民間用としては海底調査など科学研究用と遊覧などの商用の水中船全般のことを指す。軍用では特に小型のものを潜水艇と呼び、大型のものは潜水艦と呼ばれる。


操船に関しては日本を含め多くの国では1級小型船舶操縦士(相当の)資格で法的には可能だが、通信の制限や3次元的な動作など水上船とは異なる技術が求められる。


潜水艇は航続距離が短い為、活動範囲は限られる。多くの無人潜水艇は電線などで母船とつながっている。自律型無人潜水機は6マイル (10km) 以上の運行が可能である。




目次






  • 1 潜水艦と潜水艇


  • 2 商用


    • 2.1 観光用


    • 2.2 個人用


    • 2.3 通商用




  • 3 調査用


    • 3.1 有人機


    • 3.2 無人探査機




  • 4 出典


  • 5 脚注


  • 6 外部リンク





潜水艦と潜水艇




甲標的




軍用の潜水艇ビーバー


使用目的による名称・機能の違い



  • 潜水艦 : 軍事用の大型水中艦

  • 潜水艇 : 軍事用・民間用の小型水中船


軍用の潜水艇では旧日本海軍の「甲標的」「蛟龍」「海龍」、ドイツ海軍の「ビーバー」、北朝鮮の半潜水艇などがあり、工作員が陸地に潜入する際には水中スクーターも使われる。


軍事用潜水艇はミゼット・サブマリンと呼ぶ場合もある。


第二次世界大戦時には対艦攻撃を主任務としていたが(特殊潜航艇参照)、戦後は特殊部隊の運搬・支援を目的とする事が多い。一部の潜水艇は潜水艦乗員の訓練(韓国)や魚雷発射訓練の標的(スウェーデン)、セイルを追加装備して通常潜水艦として運用(クロアチア)される事もある。北朝鮮、ロシア、ユーゴスラビア、パキスタンなどが多くを保有するが、イタリアには特殊潜航艇時代からの老舗メーカーが存在している。また、60年代に起きた潜水艦沈没事故をうけ、沈没した原子力潜水艦などから乗員を救助する『深海救難艇』も開発され、潜水艦隊を運用している先進国で万一に備え配備されている。


アメリカ海軍はこの種の装備に消極的であったが、昨今は特殊作戦の必要性からSDVおよびASDSと呼ばれる一種の潜水艇を開発・運用している。これらは原子力潜水艦を母艦として発着する事ができる。


アメリカ海軍のNR-1は西側諸国最小[1]の原子炉を搭載した珍しい小型『核動力推進潜水艇』で、海軍引き渡し当初は「原潜用原子炉の研究」や「学術的深海探査」等が目的とされていたが、最近になり情報公開や書籍[2]の登場により、実は建造当初より『極秘作戦専用原子力潜行艇』として開発されており、アメリカ海軍及びNATO海軍潜水艦隊のための「海底ロラン」の設置、空母での発着訓練中に海没したF-14と共に深海に沈んだAIM-54 フェニックス空対空ミサイルの回収など「軍事機密保持作戦」や諜報活動に当たっていた事も明らかになっている。


近年では南アメリカの麻薬密売組織などが、アメリカ沿岸警備隊の目をかいくぐるため、麻薬密輸用潜水艇を使っての麻薬密輸事件が増えている。



商用



観光用


観光客の遊覧用として可潜領域が水深50メートル未満の潜航艇が開発されている。ハワイなど、海水透明度が高く、ダイビングも盛んな所で運航されている場合が多い。なお大半は半潜水艇による運航である。




  • もぐりん - 1989年から2002年まで沖縄県の恩納村沖で運行していたが廃業した[3]。美しい景色を見ることが出来た。


  • 韓国(済州島) - 西帰浦、馬羅島、遮帰島、牛島の4箇所で、それぞれ別事業者によって計4艘が運航。

  • アトランティス・サブマリン(観光用潜水艇事業者)[4]

    • アルバ、バハマ諸島、バルバドス、グランドケイマン、グアム、メキシコ(コスメル)、サンマルタン、アメリカ領セント・トーマス、ハワイ諸島(オアフ島、マウイ島、ハワイ島)の計8か所で10艘の潜水艇が運航され、その中の5艘がハワイ諸島で運航されている。



  • サイパン - ディープスター・サブマリン[5]が運航


  • バリ島(アムック湾) - オデッセイサブマリン[6]が運航



個人用


富裕層向けに乗員1~3名の小型潜水艇が販売されており、専門メーカーも存在する[7]



通商用



かつては海上封鎖をすり抜けて物資を輸送するため非武装の潜水艇が建造された。



調査用


深海の生物や環境の調査、鉱物資源の探索などのために各国で潜水艇の開発が行われている。



有人機





アメリカ海洋大気庁の潜水艇DELTA




深海探査船トリエステ




深海探査船パイシーズ



耐圧操縦室、ロボットアーム、回収用バスケット、カメラなどを持つ小型艇。可潜領域が500メートルを超えるものは、チタンなどで出来た球形の耐圧殻となっており、その非常に限られた容積の中に操作ユニットなどが収められているため、乗員はパイロット2名に研究者1名の3名体制が多い。


1970年代までは各国で有人潜水調査艇が建造されたが、1980年代以降は遠隔操作無人探査機の性能が向上し、有人潜水調査艇の建造数は減った。近年、民間組織によって新たな建造がされるつつある。遠隔操作無人探査機の支援母船等も含めた運用経費は同深度の潜水能力を持つ有人潜水艇と比較して1/10以下であるとされる。また、技術の進歩により、従来有人でなければ不可能だった分野でも無人機で可能になりつつある。


日本の旗 日本




  • しんかい(運用終了)


  • しんかい2000(運用終了)

  • しんかい6500


  • よみうり号(運用終了)


  • くろしお2号(運用終了)


  • はくよう(運用終了)


フランスの旗 フランス



  • アルシメード

  • SP-350

  • SP-500


  • サイアナ(運用終了)

  • ノティール


イタリアの旗 イタリア



  • トリエステ(引退)

アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国




  • トリエステ2(引退)

  • アルビン

  • ジョンソン・シー・リンク

  • ディープローバー

  • トライトン


オーストラリアの旗 オーストラリア


  • ディープシーチャレンジャー

ロシアの旗 ロシア


  • ミール

中華人民共和国の旗 中国



  • シーポール級潜水艇

  • 蛟竜号

  • 彩虹魚号


カナダの旗 カナダ


  • パイシーズ

スイスの旗 スイス


  • ベン・フランクリン (PX-15)


無人探査機




ハイパードルフィン




ネーレウス



小型の無人潜水艇は遠隔操作無人探査機"marine remotely operated vehicles" またはMROVsと呼ばれ、今日ではダイバーにとって深海や危険な分野で広範囲に使用されている。遠隔操作による (ROVs) は油田の整備や沈没船を引き上げる用途に供される。これらの遠隔操作による運行は海上の母船からの有線(動力と通信)で行われる。母船からは画像を見てジョイスティックでプロペラやマニピュレータを操作する。


タイタニック号の調査に使用されたジェイソンJrのように有人潜水艇から無人潜水艇を制御する運用も実施される。


近年では行動範囲の限られる有線操縦から無線操縦のものも登場しているが活動範囲が有線式よりも広範囲にできる反面、動力、活動時間、(海中では電波が届かない為)画像の転送帯域が制限される問題がある。自律運行型ROVの開発も進行中である。


日本の旗 日本


  • ABISMO

アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国



  • ネーレウス(喪失)


出典


  • Polmar, Norman. "Bathyscaph." World Book Online Reference Center. 2008. [Place of access.] 26 Jan. 2008 http://worldbookonline.com/wb/Article?id=ar049420.


脚注





  1. ^ 旧ソ連が同種の原潜を開発したかどうかは当然不明


  2. ^ リー・ヴィボニー&ドン・デイヴィス、翻訳:三宅真理 (2004). 暗黒水域 知られざる原潜NR-1. 文藝春秋. ISBN 4-16-365620-0. 


  3. ^ もぐりん


  4. ^ アトランティス・サブマリン


  5. ^ ディープスター・サブマリン


  6. ^ オデッセイサブマリン


  7. ^ アストンマーティン、潜水艇事業に進出…米社と提携




外部リンク







  • 研究船・探査機<研究船・施設・設備 - 海洋研究開発機構







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