光
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光(ひかり)とは、基本的には、人間の目を刺激して明るさを感じさせるもの[1]である。
現代の自然科学の分野では、光を「可視光線」と、異なった名称で呼ぶことも行われている。つまり「光」は電磁波の一種と位置付けつつ説明されており、同分野では「光」という言葉で赤外線・紫外線まで含めて指していることも多い。
光は宗教や、哲学、自然科学、物理などの考察の対象とされている。
目次
1 宗教や哲学での説明
2 自然科学の説明
2.1 粒子説と波動説
2.2 光の粒子性
2.3 光の波動性
2.4 光の諸性質
2.5 光の種類
2.6 光の理論のタイム・テーブル
3 他
4 脚注
5 関連項目
6 外部リンク
宗教や哲学での説明
光は様々な思想や宗教において、超越的存在者の属性を示すものとされた。
古くから宗教に光は登場しており、より具体的には太陽と結びつけられることも多かった。古代エジプトの神、アメン・ラーなどはその一例である(太陽神も参照可)。
プラトンの有名な「洞窟の比喩」では、光の源である太陽と最高原理「善のイデア」とを結びつけている。
新プラトン主義では、光に強弱や濃淡があることから、世界の多様性を説明しようとしており、哲学と神秘主義が融合している。例えばプロティノスは「一者」「叡智(ヌース)」「魂」の3原理から世界を説明し、「一者」は、それ自体把握され得ないものであり光そのもの、「叡智(ヌース)」は「一者」を映し出しているものであり太陽であり、「魂」は「叡智」を受けて輝くもので月や星であるとし、光の比喩で世界の説明を論理化した。この新プラトン主義は魔術、ヘルメス主義、グノーシス主義にまで影響を及ぼした、とも言われている。
『新約聖書』ではイエスにより「私は、世にいる間、世の光である」(ヨハネ福音書 9:5)と語られる。またイエスは弟子と群集に対して「あなたたちは世の光である」(地の塩、世の光)と語る。ディオニュシオス・アレオパギテースにおいては、父なる神が光源であり、光がイエスであり、イエスは天上界のイデアを明かし、人々の魂を照らすのであり、光による照明が人に認識を与えるのだとされた。この思想はキリスト教世界の思想に様々な形で影響を与えた。しばしば光=正義、闇=悪の二元対立としてたとえて語られた。
グノーシス主義では光と闇の二元的対立によって世界を説明した。
仏教では、光は、仏や菩薩などの智慧や慈悲を象徴するものとされる。
自然科学の説明
光は波(波動)としての性質と、粒子としての性質を同時に併せ持っている。(後述)
また光は光源や観測者の速度にかかわらず「相対速度が変化しない」という特徴を持つ。また、入射角度と反射角度は変わらないという特徴も持つ。光の速度を光速と言う。
粒子説と波動説
「光は粒子なのか?それとも波なのか? 」 この問題は20世紀前半まで、大きな問題として科学者たちを大いに悩ませた。なぜなら、光が波であるとしなければ説明できない現象(たとえば光の干渉、分光など)と、光が粒子であるとしなければ説明できない現象(たとえば光電効果など)が存在していたからである。(詳細は後述)
この問題は、20世紀に「量子力学」という分野が確立していく中でようやく解決することになった。不確定性原理によって生じた問題を説明するために1927年にニールス・ボーアが相補性という概念を提唱したことで解決した。一方を確定すると他方が不確定になるような2つの量というのは、互いに補い合いあうことにより対象の完全な記述が得られる、とする考え方である。
「光は粒子でもあり波でもある。粒子と波の両方の性質を併せ持つ、量子というものである」とされるようになり、「光は〈粒子性〉と〈波動性〉を併せ持つ」とも表現されるようになった。
近年では、光の粒子性に重点を置く場合は「光子」、波動性に重点を置く場合には「光波」、光が粒子と波の二面性を持った量子である、という点に重点をおく場合は「光量子」と呼ぶ。
光の粒子性
ニュートンによって、光は粒子だとする説が唱えられた(粒子説)。アインシュタインは光子の概念を提唱し、これは現在まで用いられている。
粒子(量子)としての光を光子(光量子)という。光子は電磁場の量子化によって現れる量子の1つで、電磁相互作用を媒介する。
E=hν{displaystyle E=hnu } - 光のエネルギーは振動数 ν{displaystyle nu } に比例する(比例定数 h はプランク定数)
p=hλ{displaystyle p={frac {h}{lambda }}} - 光の運動量は波長 λ{displaystyle lambda } に反比例する
このため波長の短いX線などにおいて、光の粒子性は特に顕著となる。
光の波動性
光は波動として振る舞い反射・屈折・回折などの現象を起こす。
ヤングの実験(1805年)により光の波動説として証明され、その後マクスウェルらにより光波は電磁波であることが示された。厳密にはマクスウェルの方程式で記述されるベクトル波であり偏光を持つが、波動光学では簡略化のためにスカラー波として扱うことが多い。
波動としての光を光波と呼ぶ。
- 光のエネルギーは電場の振幅の2乗に比例する
- 運動量はポインティング・ベクトルに比例する
光の諸性質
光には粒子性と波動性があり、屈折・(全)反射・干渉(ホログラフィ)・回折・偏光 (LPL・CPL) などの性質を示す。他にも次のような性質がある。
- 光は通常、直進する(エウクレイデスの「光の直進の法則」)。厳密には、重力場では光の経路も彎曲する[2]。
- 凸凹の無い平面鏡に当たった光は、鏡に当たったときと同じ角度で反射する。 (エウクレイデスの「光の反射の法則」)
屈折率の異なる物質の境界面で光の速度が変化する。その結果、境界面への入射角が直角でない場合には、光の進路が変化する。(屈折)- 光の屈折の際は、スネルの法則が成立する。
- 強さは光源からの距離の2乗に反比例する。(ケプラーの光の逆2乗の法則)
- 光速は、光源の運動状態にかかわらず、不変である。 (光速度不変の原理)
- 光は質量がゼロである。従って物質ではない。
- 光は物質のない真空中の空間を伝播することができる。
主な物質との関係ではフォトニクスと呼ばれ大別してPhoto(光化学、光物理などの分子場理論)とOpto(光学などの放射場理論)と呼び方が異なる。
光物理機能としては
- 励起エネルギー移動
- 化学発光
電界発光 (EL)
光化学機能としては
- フォトレジスト
- 光触媒
- 光エネルギー変換
光波機能に関わるものとしては
- 光ファイバー
- 近接場光学
- コヒーレント分光
などがある。
光の種類
- 太陽光
- レーザー光
放射光(電磁波)
赤外線・可視光線・紫外線・X線(軟~硬)などが得られる。
光の理論のタイム・テーブル
紀元前4世紀 エウクレイデス(ユークリッド)、光の直進の法則、光の反射の法則を発見。- 10世紀~11世紀、イブン・アル=ハイサム(アルハゼンとも。965年-1040年)『光学の書』、アラビア語(原語): Kitāb al-Manāẓir (كتاب المناظر)、 ラテン語: De Aspectibus or Perspectiva、英語 Book of Optics。七巻にもおよぶ光学の書。13世紀にはラテン語に翻訳されヨーロッパで広まった。科学的方法で光を研究しており、ベーコン、ウィテロ、ケプラー、ニュートンなどに大きな影響を与え、彼らの研究手法(科学的方法)や光学研究などに多大な影響を与えている。バーゼルでの初版は1572年(『光学法典』)。
1611年 ヨハネス・ケプラー、光の逆2乗の法則を発見。
1621年 スネルが光の屈折の法則(スネルの法則)を発見。
1637年 デカルトが『屈折光学』で光の屈折反射を論じる。
17世紀[いつ?]ニュートンによる光の分散の実験
17世紀[いつ?]レーマーによる光速度の測定
1690年 ホイヘンス『光についての論考』 - ホイヘンスの原理
1704年 ニュートン『光学』
1800年頃、ヤングの実験
1847年 マイケル・ファラデーによる偏光の実験
1850年頃、レオン・フーコーやアルマン・フィゾーの光速度の測定- ウェーバによる電磁波の速度の測定
19世紀 マクスウェルの方程式
1881年 マイケルソン・モーリーの実験
1905年 アインシュタインの光量子仮説
1958年 チャールズ・タウンズによるレーザーの発明
他
なお、光が、人間の目に入る直線経路は複数とりうることを2穴のピンホールを用いた実験によってシャイネルが確認した(シャイネル試験)[3]。
脚注
^ 出典 - 広辞苑
^ アルバート・アインシュタイン; 金子務訳 『わが相対性理論』 白揚社、1981年、147頁。
^ 小川鼎三 他4名編集『医学大辞典』 南山堂、1975年、657頁より。出典の表現を若干変更している。
堂本光一
関連項目
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外部リンク
- 光と光の記録
- 財団法人 光産業技術振興協会
- 日本光学会
- 光化学協会
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