アメリカ陸軍
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アメリカ陸軍(アメリカりくぐん、United States Army, 略称:USA)は、アメリカ合衆国の陸軍である。
目次
1 歴史
2 構成
2.1 編制
2.2 戦闘部隊と戦闘支援部隊
3 組織
4 装備品
4.1 兵装
4.1.1 軍用車両
4.1.2 航空機
4.1.3 火器
4.1.4 艦船
5 階級
6 自殺について
7 脚注
8 参考文献
9 関連項目
10 外部リンク
歴史
アメリカ陸軍はアメリカ独立戦争のためにアメリカ合衆国建国の前の1775年6月14日に大陸会議の決議によって、イギリス軍に対抗するため組織された大陸軍を起源としている。大陸軍はアメリカ13植民地の統一された命令系統を持ち、独立戦争の全期間を通じてジョージ・ワシントンがその総司令官を務めた。大陸軍の行動ははじめ武器、食料の不足などで苦戦したが、各植民地の民兵隊やその管制下に残されていた部隊の支援とさらにヨーロッパ諸国からも支援も得て、独立戦争に勝利しパリ講和条約によって13植民地はアメリカ合衆国として正式に独立を認められた。パリ講和条約締結後ウエストポイントと幾つかの辺境の前哨基地に小さな地域軍隊が残されたのみで、1783年11月3日ほとんどの大陸軍部隊は解散されたが、1784年6月3日の大陸会議の決議によってアメリカ陸軍が結成された。
紋章にあるモットーは“This we'll defend”(我等これを護る)。
構成
アメリカ陸軍は下記3兵種から構成される。アメリカ陸軍の兵員は“Soldier”と呼ばれる[要出典]。
常備軍(現役兵)
予備軍(予備役兵)
州兵(現役兵及び予備役兵)
上記3つの要素は、全て第一次世界大戦からアメリカが関わった全戦争に参加した。予備軍および州兵の使用権はベトナム戦争の後に強められた。予備軍および州兵の部隊は、湾岸戦争(コソボ紛争における平和維持活動)および2003年のイラク戦争に参加した。2017年4月現在約46万人、予備役約53万人が所属[要出典]。
編制
アメリカ陸軍は大まかに以下の編制からなる。コマンドもよく用いられるが、さまざまな規模であるため特定の階梯にはない。
総軍 - 陸軍総軍(Army Forces Command)が存在する。主要司令部の一つ。 緊急即応・戦略予備部隊と陸軍予備軍・州兵部隊の管理を任務とするフォース・プロバイダーである。
軍集団(Army Group) - 必要に応じて編成する。
軍(Army) - 軍と訳す。軍政上は方面部隊を維持管理する。指揮官は中将。
軍団(Corps) - 通常2個師団以上からなる。現在第1軍団、第3軍団、第18空挺軍団、化学軍団(化学隊)(英語版)などの軍団がある。戦域と任務が指定されていて指揮官は中将。
師団(Division) - 現在、アメリカ軍の師団は通常3個以上の旅団戦闘団と、航空旅団、火力旅団などの支援部隊から成る。指揮官は少将。
旅団(Brigade)、群(group) - 現在、アメリカ軍が力を入れて改変中の編成である。旅団規模での独立行動を可能とし、小規模(旅団単独)から中規模(数個旅団編成・師団への統合も含む)までの武力衝突への対応へ取り回しの効く実戦部隊を目指している。重旅団戦闘団、ストライカー旅団戦闘団、歩兵旅団戦闘団などの旅団戦闘団が米軍再編にて編成された。指揮官は大佐、まれに准将。旅団も群も通常複数の大隊からなる。
連隊(Regiment)- いくつかの例外を除いて現在使われていない単位である。また旅団戦闘団と同一の編制であるが伝統上の理由から騎兵連隊の名称を用いている部隊がある。
大隊(Battalion, Squadron) - 歩兵、砲兵および機甲部隊の場合 Battalion、騎兵部隊の場合 Squadron の名称で大隊は編成される。大隊クラスの部隊は中佐が指揮をとる。
中隊(Company, Battery, Troop) - 大部分の兵科では Company、砲兵の場合は Battery、騎兵部隊の場合は Troop の名称で中隊は編成される。中隊クラスの部隊は通常、大尉が指揮をとる。
小隊(Platoon) - 通常、中尉あるいは少尉が指揮をとる。
分隊(Squad)、班(Section) - 分隊以下はアメリカ陸軍の分隊編制も参照すること。- 操作班(Crew)、射撃班(Fire Team)
戦闘部隊と戦闘支援部隊
軍は任務によって編制される。
- 戦闘部隊は歩兵部隊、機甲部隊、騎兵部隊[1]および特殊部隊から成る。
- 戦闘支援部隊は砲兵隊、航空隊、工兵隊、補給部隊、軍医部隊、輸送部隊、補給隊、高級副官団、通信隊からなる。支援部隊には法務部を含む。
- 特殊部隊にはアメリカ特殊作戦軍傘下のアメリカ陸軍特殊作戦コマンドがある。
組織
アメリカ陸軍の組織は、制度上の組織(人員・配置・装備・訓練等を担う)と、運用上の組織(作戦・戦闘の指揮命令系統)に分けられている[2]。制度上の組織は大きく陸軍コマンド、陸軍支援構成コマンド、直轄部隊で3区分されているが、これは3つの機関が存在している訳ではない[2]。直轄部隊を除く各軍は制度上は陸軍組織に入るが、運用上は統合軍の指揮命令系統に従う(後述)。下記に制度上の組織を示す。(出典:アメリカ陸軍公式サイト[2])
- 上級組織[2]
アメリカ陸軍省(Department of the Army)
- 陸軍省司令部(Headquarters, Department of the Army)
- 陸軍長官室(Office of the Secretary of the Army)
陸軍長官(Secretary of the Army)
- 陸軍次官(Under Secretary of the Army)
- 陸軍参謀部(Army Staff)
陸軍参謀総長(Chief of Staff of the Army)
- 陸軍参謀副総長(Vice Chief of Staff of the Army)
- 陸軍長官室(Office of the Secretary of the Army)
- 陸軍省司令部(Headquarters, Department of the Army)
- 部隊編成
陸軍コマンド(Army Commands)
陸軍総軍(FORSCOM)
第1軍(First U.S. Army)予備役
- 東部管区隊(First Army Division East)
- 西部管区隊(First Army Division West)
第1軍団(First Corps)
第7歩兵師団(7th Infantry Division)
- 第3軍団(III Corps)
第1機甲師団(1st Armored Division)
第1騎兵師団(1st Cavalry Division)
第1歩兵師団(1st Infantry Division)
第4歩兵師団(4th Infantry Division)- 第3ストライカー騎兵連隊
第18空挺軍団(XVIII Airborne Corps)
第3歩兵師団(3rd Infantry Division)
第10山岳師団(10th Mountain Division)
第82空挺師団(82nd Airborne Division)
第101空挺師団(101st Airborne Division)
- 陸軍訓練教義軍団(TRADOC)
- 陸軍資材軍団(AMC)
陸軍支援構成コマンド(ARMY SERVICE COMPONENT COMMANDS)
- アメリカアフリカ陸軍(USARAF)
アメリカ中央陸軍(USARCENT)旧第3軍
アメリカ北方陸軍(USARNORTH)旧第5軍- アメリカ南方陸軍(USARSO)
アメリカ欧州陸軍・第7軍(USAREUR)- アメリカ太平洋陸軍(USARPAC)
第25歩兵師団(25th Infantry Division)
在日米陸軍(United States Army, Japan:USARJ)- 在韓米陸軍(U.S. Eighth Army)第8軍
第2歩兵師団(2nd Infantry Division)
アメリカ陸軍特殊作戦コマンド(USASOC)- アメリカ陸軍配備流通コマンド(SDDC)
- アメリカ陸軍宇宙・ミサイル防衛コマンド(USASMDC)
- アメリカ陸軍サイバーコマンド(ARCYBER)
直轄部隊(Direct Reporting Units)
- アメリカ陸軍試験評価コマンド(Army Test and Evaluation:ATEC)
- アメリカ陸軍ワシントン軍区(Military District of Washington:MDW)
アメリカ陸軍士官学校(United States Military Academy:USMA)- アメリカ陸軍国防大学(United States Army War College:USAWC)
- アメリカ陸軍装備管理コマンド(Installation Management Command:IMCOM)
- アメリカ陸軍近接支援旅団(United States Army Accessions Support Brigade:USAASB)
- アメリカ陸軍人的資源コマンド(Human Resources Command:HRC)
アメリカ陸軍工兵軍団(United States Army Corps of Engineers:USACE)- アメリカ陸軍習得支援センター(United States Army Acquisition Support Center:USAASC)
アメリカ陸軍情報保全コマンド(Intelligence and Security Command:INSCOM)- アメリカ陸軍医療コマンド(United States Army Medical Command:MEDCOM)
- アメリカ陸軍犯罪捜査コマンド:(United States Army Criminal Investigation Command:USACIDC)
アーリントン国立墓地(Arlington National Cemetery:ANC)
- 指揮・統制
アメリカ陸軍の長は陸軍参謀総長が務め、4つ星の将官である大将が任命される。他の統合参謀本部のメンバーと同じく、陸軍参謀総長に陸軍部隊に対する作戦上の直接指揮権は無い。あるのは軍内行政執行権及び軍政策決定権だけであり、作戦指揮権は大統領から国防長官を通して命令を下される各統合軍司令官にある。陸軍参謀総長に部隊指揮権は無いものの、各軍の参謀総長と共に統合参謀本部を構成し、大統領に作戦上のアドバイスをする立場にある。陸軍の3つ星の将官(中将)の職には、各戦域統合軍の副司令官、各戦域統合軍の陸軍司令官、各種軍団の将官職等がある。
- 統合軍との関係
各軍・軍団は部隊管理組織であり、陸軍参謀総長の指揮を受ける。作戦行動は各統合軍司令官の指揮を受けている。
アメリカアフリカ軍(USAFRICOM) - アメリカアフリカ陸軍(USARAF)
アメリカ中央軍(USCENTCOM) - アメリカ中央陸軍(USARCENT)旧第3軍
アメリカ北方軍(USNORTHCOM) - アメリカ北方陸軍(USARNORTH)旧第5軍
アメリカ南方軍(USNORTHCOM) - アメリカ南方陸軍(USARSO)旧第6軍
アメリカ欧州軍(USEUCOM) - アメリカ欧州陸軍・第7軍(USAREUR)
アメリカインド太平洋軍(USPACOM) - アメリカ太平洋陸軍(USARPAC)
アメリカ特殊作戦軍(USSOCOM) - アメリカ陸軍特殊作戦コマンド(USASOC)
アメリカ輸送軍(USTRANSCOM) - アメリカ陸軍配備流通コマンド(SDDC)
アメリカ戦略軍(USSTRATCOM) - アメリカ陸軍宇宙・ミサイル防衛コマンド(USASMDC)
アメリカサイバー軍(USCYBERCOM) - アメリカ陸軍サイバーコマンド(ARCYBER)
アメリカ統合戦力軍(USJFCOM) - 陸軍総軍(FORSCOM)※2011年にアメリカ統合戦力軍は廃止された。
装備品
兵装
軍用車両
主力戦車
- M1A1/M1A2エイブラムス
歩兵戦闘車
- M2/M3ブラッドレー
装甲兵員輸送車
- M113
- ストライカー
- クーガー
装甲車
- M1117
自走砲
- M109
- M1128
- MLRS
- HIMARS
- 多用途装輪車
- ハンヴィー
- MRAP
航空機
詳細は各国軍の航空配備一覧
ヘリコプター
- AH-64 アパッチ
- AH-64D アパッチ・ロングボウ
- UH-60 ブラックホーク
- UH-1 ヒューイ
- UH-72 ラコタ
- OH-58 カイオワ
- OH-6 カイユース
- CH-47 チヌーク
Mi-24 研究・仮想敵訓練用として使用されている。
UAV(無人機)
- MQ-8 ファイアスカウト
- RQ-7 シャドー
火器
アサルトライフル
- M16A2/M16A4
- M4/M4A1
- Mk.16/Mk.17
- HK416
拳銃
- US M9
狙撃銃
- M24
- M2010
- M110SASS
- M21
- M14EBR
- M82
機関銃
- M134
M249軽機関銃(ミニミ軽機関銃)
M240機関銃(FN MAG)- M2重機関銃
擲弾発射器
- M203
- MK19
- MGL
- M25
対戦車兵器
- M3 MAAWS
- M72 LAW
- M136 AT4
M202 (少数のみ使用)- BGM-71 TOW
- M47 ドラゴン
- FGM-148 ジャベリン
地対空ミサイル
- FIM-92 スティンガー
- アベンジャーシステム
- MIM-104 パトリオット
- THAAD
迫撃砲
- M224 60mm迫撃砲
- M252 81mm迫撃砲
- M120 120mm迫撃砲
榴弾砲
M102 105mm榴弾砲(州兵のみ)- M119 105mm榴弾砲
M198 155mm榴弾砲(逐次退役中)
M777 155mm榴弾砲(M198の後継として配備中)
艦船
人員・装備の国際的な展開を図るために、大規模な艦船部隊を独自に持つ。
下記は揚陸艦艇の形式を踏襲しているが、基本的に陸軍艦船には両用戦任務は無い。港湾が存在しないか、あっても積み下ろし設備が不備など積み下ろしに適当でない場合において、沖合いに停泊する大型貨物船と地上との「(ビーチングができる)艀」としての任務にあたるなど、もっぱら後方支援に利用する。
フランク・S・ベッソン・ジュニア大将級兵站支援艦(Logistic Support Vessele:LSV)- ラニーミード級汎用揚陸艇
LCU-1610級汎用揚陸艇 - 海軍も同艇を上陸用舟艇として使用。- LACV-30輸送エアクッション艇
この他に独自に積み降ろし機材を備えた事前集積船多数、高速双胴船型の輸送艦「ジョイントベンチャー」、海洋調査船などを装備している。
階級
- 士官
給与等級 | O-1 | O-2 | O-3 | O-4 | O-5 | O-6 | O-7 | O-8 | O-9 | O-10 | Special | Special |
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階級章 | ||||||||||||
名称 | 少尉 Second Lieutenant | 中尉 First Lieutenant | 大尉 Captain | 少佐 Major | 中佐 Lieutenant Colonel | 大佐 Colonel | 准将 Brigadier General | 少将 Major General | 中将 Lieutenant General | 大将 General | 元帥 General of the Army | 大元帥 General of the Armies |
略称 | 2LT | 1LT | CPT | MAJ | LTC | COL | BG | MG | LTG | GEN | GA | |
NATO 階級コード | OF-1 | OF-1 | OF-2 | OF-3 | OF-4 | OF-5 | OF-6 | OF-7 | OF-8 | OF-9 | OF-10 | |
- 准士官
給与等級 | W-1 | W-2 | W-3 | W-4 | W-5 |
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階級章 | |||||
名称 | 准尉 Warrant Officer 1 | 准尉長 Chief Warrant Officer 2 | 准尉長 Chief Warrant Officer 3 | 准尉長 Chief Warrant Officer 4 | 最上級准尉長 Chief Warrant Officer 5 |
略称 | WO1 | CW2 | CW3 | CW4 | CW5 |
NATO 階級コード | WO-1 | WO-2 | WO-3 | WO-4 | WO-5 |
- 下士官・兵
給与等級 | E-1 | E-2 | E-3 | E-4 | E-5 | E-6 | E-7 | E-8 | E-9 | ||||
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階級章 | 階級章無し | ||||||||||||
名称 | 二等兵 | 一等兵 | 上等兵 | 特技兵 | 伍長 | 三等軍曹 | 二等軍曹 | 一等軍曹 | 曹長 | 先任曹長 | 上級曹長 | 最先任上級曹長 | 陸軍 最先任上級曹長 |
Private | Private | Private First Class | Specialist | Corporal | Sergeant | Staff Sergeant | Sergeant First Class | Master Sergeant | First Sergeant | Sergeant Major | Command Sergeant Major | Sergeant Major of the Army | |
略称 | PVT ¹ | PV2 ¹ | PFC | SPC ² | CPL | SGT | SSG | SFC | MSG | 1SG | SGM | CSM | SMA |
NATO 階級コード | OR-1 | OR-2 | OR-3 | OR-4 | OR-4 | OR-5 | OR-6 | OR-7 | OR-8 | OR-8 | OR-9 | OR-9 | OR-9 |
¹ PVTの略称は二等兵・一等兵の両方に使われる。 ² 特技兵のためにSP4の略称も使われることがある |
自殺について
退役軍人については一般人よりも自殺率が高い(約2倍)ことが指摘されている[3]。特に、朝鮮戦争後やベトナム戦争後、そしてイラクやアフガニスタンに派遣された軍人の自殺率の高さが指摘されている[3]。
脚注
^ なお、現在の騎兵部隊は実際に乗馬しているわけではなく、主に伝統的な理由から「騎兵」の名称を持つ部隊を指している。
- ^ abcdThe US Army's Command Structure and Mission - Army.milアメリカ陸軍公式サイト(2018年9月28日閲覧)
参考文献
- 上田 信 『コンバット バイブル:アメリカ陸軍教本完全図解マニュアル』 日本出版社、1992年5月。ISBN 4-89048-316-0。
- 田中昭成 『ウォームービー・ガイド』 海鳴社、2008年2月。ISBN 978-4-87525-246-7。
関連項目
- アメリカ陸軍の編成
- アメリカ陸軍の分隊編制
America's Army アメリカ陸軍開発のFPS- アメリカ陸軍予備役将校訓練課程
外部リンク
- Official website
- Army Decorations - for Valor or Service
- Abbreviations, Acronyms, and Initialism
図書館にあるアメリカ陸軍に関係する蔵書一覧 - WorldCatカタログ
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