マーダーライセンス牙











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マーダーライセンス牙
ジャンル

バイオレンス・アクション・風刺
漫画
作者

平松伸二
出版社

集英社
掲載誌

スーパージャンプ
レーベル

ジャンプコミックス
発表期間

1988年6号 - 1994年8号
巻数
全22巻(ジャンプコミックス)
全16巻(ジャンプコミックスセレクション)

テンプレート - ノート

マーダーライセンス牙』(マーダーライセンスきば)は、平松伸二による日本の漫画作品。『スーパージャンプ』(集英社)にて連載された。




目次






  • 1 内容


  • 2 欠番


  • 3 登場人物


    • 3.1 牙指令関係者


    • 3.2 敵対者




  • 4 他作品への登場


  • 5 備考


  • 6 脚注





内容


スポーツジムの講師である木葉優児(きば ゆうじ)と内閣総理大臣の板垣重政(いたがき しげまさ)は、表向きは面識さえもない赤の他人であるが、実は血を分けた親子である。国民にとって危険な悪を殺す指令を板垣が出し、忍者の能力を持つ優児が実行するという関係にあった。このことは、一部の者しか知らない。伝達は、「一切の隠し事をしない」という意味で全裸になった後、盗聴防止機能つきのタンク形シェルターの中で行なわれる。


忍者の能力に加え、日本でただ1人「殺人許可証」(マーダーライセンス)を持つ優児が巨悪を抹殺していく姿が、清廉潔白な板垣の人間性や政治家としての信念を交えながら描かれている。


連載当時の政治世相を色濃く反映しており、特定の政治家によく似た人物が多数登場する。国際問題を取り扱うエピソードも多いが、その場合は一部を除いて国名を明記せず「C国」「A国」などと伏せて登場させている。しかし同じ国でも回によって伏せていたりいなかったりと、作中での取り上げ方によって扱いはまちまちである。



欠番


第14話「罪の清算」では、実在の犯罪者の名前を使い、第15話でお詫びを掲載(連載誌参照)。単行本未収録になった。その後、この話は作者の短編集『ハランの時代』 (ASIN B00KL68DS4)や、コンビニコミック『マーダーライセンス牙スペシャル 死神の影編』 (ISBN 9784537160451) に収録された。なお、『死神の影編』ではサブタイトルが「死刑制度」に改められている。



登場人物



牙指令関係者



木葉優児(きば ゆうじ)

主人公。20歳にして既に木葉流忍術の14世継承者。諜報活動や暗殺活動の他、奥義の1つ「マッスルコントロール」で全身の筋肉を自在に操り、頭髪以外の全てを女性へ変形させることさえできる(髪型はベリーショートになる。本人自身がイケメンなので変身後も美女)。男性での表の顔はスイミングスクールやアスレチックのインストラクターにしてスポーツ栄養学のコンサルタント、女性での表の顔は板垣の主治医・木葉優子(きば ゆうこ)という素性になっている。

以上のことから素性を知らないスイミングスクールの面々などには美貌共々完璧な存在と思われているが、実際には若干ながら一般人と同様の心理面の弱さを持ち合わせており、そこを敵に突かれて危機に陥る姿も描かれている。

最終回ではWHO(本作最大の敵勢力である軍産複合体)によってアメリカ、ロシアの大統領と共に拉致された板垣を助ける為にサラエボの紛争地帯に向かう。そこで激戦の末にWHOの幹部を倒し、3首脳を救出して世界が再び冷戦に陥る事態は回避したが、同時にWHOの攻撃によって大規模な戦闘が勃発。戦争を止めるべく、板垣の静止を振り切って戦場に向かう所で物語は終わる。本作における最終的な生死は不明だったが、後に『マーダーライセンス牙&ブラックエンジェルズ』にて主人公の1人として再登場する。

なお、「優子」というのは二卵性双生児として優児とともに産まれた娘の名前で、優児と優子が一緒に写った写真が存在するが既に故人。「マッスルコントロール」で男性化した姿は優児そっくりである。

板垣重政(いたがき しげまさ)

重要人物の1人。本作の舞台の日本における内閣総理大臣。

木葉優児とは普段は部下と上司という間柄で周囲の人物に知れ渡っているが、実際は親子である。

総理大臣という役職に媚びることは一切せず、悪徳政治家の談合が発見されるや否や自ら現場に駆け付けて不良役員へは鉄拳制裁を行った後で即座に処分するなど、権力欲に取り付かれた人間を断固として許さない真っ直ぐな心を持つ。

「国民は自分の家族」という信条を持ち、国民の安全や社会の活性化を率先して取り組むその方針から、国民からの信頼が非常に厚い。その一方、国民を何よりも優先する方針を気に入らない官僚関係者(現実の政治家がモデルとなっており、それを架空の理想の政治家たる板垣が糺すという筋書きになっている)や悪の組織から命を狙われることも少なくない。

戦闘力は木葉に及ばないものの、武芸百般[1]に通じ、身を挺して戦うこともある。また、絶体絶命の状況でも決して諦めることのない根性を持っている。

東堂俊介(とうどう しゅんすけ)

内閣情報調査室長であり、牙指令に関わる1人。

板垣に全幅の信頼を寄せる1人であり、数々の牙指令に携わっている。有事には自ら現場に赴き、必要とあらば自身の手で外道を撃つ事も辞さない。板垣の意思は最大限に尊重する一方、板垣の身を案じ、自分の身を顧みない彼の行動を静止する場面も見られる。

30代後半で独身故、板垣からも見合いを勧められる事もあった。本人も気にしているらしく、同期の友人が結婚した際には沈んでいた。

『マーダーライセンス牙&ブラックエンジェルズ』にも登場するが、物語後半の事件で死亡してしまう。しかしその後の時系列にあたる『ザ・松田 超人最強伝説』では何事も無かったように復活していた。

河山三郎(こうやま さぶろう)

検事総長であり、牙指令に関わる1人。

板垣が若手議員だった頃からの付き合いであり、密室にて裸で向き合うという牙指令のシステムが体質に合わないながらも、常に板垣に最大限の尊敬と信頼を寄せる人物。一方、板垣の政治生命を案じるが故に、あまりに相手が悪い牙指令には反対する事も見受けられた。

九鬼が送り込んだ刺客に操られ、板垣抹殺に利用されるが、木葉に救われる。しかしその直後に現れた敵の銃撃から身を挺して木葉を守り、命を落とした。

木葉三太夫(きば さんだゆう)

木葉フィットネスクラブのオーナー兼スイミングインストラクター。表向きは木葉の祖父という事になっているが、実際は木葉忍流の使い手の忍者であり、木葉の師匠にあたる。しかし互いに本当の祖父と孫のように思っており、木葉にも任務外や2人の時は「老師」ではなく「じっちゃん」と呼ぶように言っている。普段はひょうきんでスケベな老人だが、老いても尚その実力は衰えを知らず、木葉と共に数々の牙指令を成功に導いていた。

物語中盤を過ぎた頃のWHOとの戦いで致命傷を負いながらも、木葉を勝利に導き、彼に看取られながら息を引き取る。

リエ

後半から登場。三太夫の孫娘であり、彼に忍術の修行を付けられたくノ一でもある少女。中国で暮らしていたが両親を亡くし、三太夫の死後に木葉の前に現れ、新たな相棒となる。木葉は当初は闇の世界に関わらせまいとしていたが、やがて彼女も牙指令に携わっていく事になる。天真爛漫な少女だが、敵の拷問で痛めつけられても口を割らない気丈さも持つ。ばっちゃん登場以降は全く姿を見せなくなった。

ばっちゃん

終盤から登場。本名不明。九龍城砦で闇医者を営んでいた老婆で、木葉忍流の使い手でもある。三太夫とは古い付き合いで、互いに「クソジジイ」「クソババア」呼ばわりする間柄ではあるが、嘗ては恋人だった様子を窺わせる。九龍城砦解体と同時に日本に渡るが、三太夫の死を知り、以降は登場しなくなったリエに代わって木葉の相棒となる。



敵対者



九鬼容堂(くき ようどう)

財政界の黒幕であり、警察、自衛隊はおろか国家の中枢にまで勢力を持つ人物。戦時中、国際法で禁止されていた科学兵器を極秘裏に研究・開発する「零号部隊」の隊長であり、当時見習い技術員だった板垣の上官だった。非道な人体実験にて技術員を悪魔の思想で洗脳し、逃げ出した者は容赦なく抹殺した事から、その僅かな生き残りである板垣とも浅からぬ因縁がある。

軍国主義の亡霊とも言うべき存在で、自衛隊の軍隊化、核の保有によって日米安保条約を撤廃し、日本を「真の独立国」とする事、そして軍事帝国としての日本を復活させ、アジアへの軍事侵攻を行うという野望の為に軍事クーデターを起こす。国民投票によって板垣と自分の思想のどちらを選ぶか国民に問う局面になると、様々な工作によって世論を自身の思うが侭に誘導する。しかし木場によって真実が暴露され、国民投票で惨敗するや否や、核ミサイルの発射という暴挙に出る。その後、地下基地に乗り込んできた板垣達と対峙し、最期は板垣に殺されそうになるも、総理が手を汚すべきではないとした木場によって斬殺され、「大日本帝国バンザイ」と言い残して死亡した。



他作品への登場



マーダーライセンス牙&ブラックエンジェルズ

「スーパージャンプ」に連載された。作者の代表作『ブラック・エンジェルズ』の登場人物達とのクロスオーバー作品で、『マーダーライセンス牙』最終話時点の設定を引き継いでいる。作品初回の時点では板垣は総理から退任していたが、現職総理が心筋梗塞で倒れたことにより再び総理大臣に任命される。前作では完璧な理想の政治家として描かれた板垣総理だが、本作では国民の反発を招く政策を実行せざるを得ない立場も描かれている。

外道坊&マーダーライセンス牙

元は「週刊漫画ゴラク」に連載されていた『外道坊』のシリーズ終盤へ優児が板垣と共にスピンオフ出演した後、2008年9月発売分以降はタイトルが本タイトルへ変更され、優児は主人公の外道坊と並ぶもう1人の主人公となった。この作品では優児と板垣の前世での姿も明らかとなる。板垣は『牙&ブラック』から引き続き総理大臣を務める。

極ラクゴ

「週刊漫画ゴラク」に連載された。読切として掲載された初回冒頭で、柳亭奇譚の贔屓筋として板垣(と優児)が登場している。作中の板垣の肩書きは元総理。

ザ・松田 ブラックエンジェルズ

「別冊漫画ゴラク」に連載された。「松田、連れ去る」「松田・日本代表」の2編に優子と板垣が登場している。作中の板垣の肩書きは元総理。

ザ・松田 超人最強伝説

『ザ・松田 ブラックエンジェルズ』の続編で引き続き「別冊漫画ゴラク」に連載された。前半と終盤に優子と板垣と、『牙&ブラック』で死亡したはずの東堂が登場している。作中の板垣の肩書きは元総理。

ブラック・エンジェルズ 雪藤ですが...何か!?

「グランドジャンプPREMIUM」2017年9月号に掲載された。優子と板垣が登場している。作中の板垣の肩書きは元総理。



備考


  • 「週刊少年ジャンプ」に連載されていた『幕張』には、板垣をモチーフにした板垣平松という人物が登場する。


脚注


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  1. ^ 『マーダーライセンス牙&ブラックエンジェルズ』によると柔道五段、剣道四段、算盤一級。









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