霧氷
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霧氷(むひょう)は着氷現象の一種で、氷点下の環境で樹木に付着して発達する、白色や半透明で結晶構造が顕著な氷層の総称。
目次
1 概要
1.1 樹氷
1.2 粗氷
1.3 樹霜
2 脚注
2.1 出典
3 参考文献
4 関連項目
概要
一般的に冬山で見られ、過冷却にある霧(着氷性の霧)によるものと、空気中の水蒸気の昇華によるものがある。樹氷、粗氷、樹霜の3つに分類される。
白色や半透明の霧氷に対して、着氷性の雨によってできる、ほぼ透明な付着氷は雨氷という。
樹氷
樹氷(じゅひょう、英: soft rime)は、過冷却水滴からなる濃霧が地物に衝突して凍結付着した氷層のうち、白色で脆いものをいう[3]。気温-5℃以下の環境で風の弱いときに顕著に発達し[1][2]、気泡を多く含むために不透明で、白色を呈する[3][4]。小さな粒状の氷が無数に凝集する構造で、手で触ると簡単に崩れるほど脆く、樹氷が付着している物体を揺らすと簡単に落ちる。風上側へ向かって羽毛状に成長し、風が強いほど風上に成長するが、この様を俗に「海老の尻尾」とも呼ぶ。弱風時には地物の全ての方向に付着する。
日本では蔵王で1914年2月15日に発見された樹氷林が観光資源にもなっており、樹木が完全に樹氷や雪によって覆われたものは「アイスモンスター」あるいは地元では「雪の坊」とも呼ばれる。アイスモンスターの南限および西限は長野県の菅平高原とされてきたが、2018年1月に白山で発見されて国内最南端、最西端を更新した[5]。他に八甲田山や八幡平、伊吹山、氷ノ山、富士山のものが知られていて、九州の中央部、宮崎県五ヶ瀬町と熊本県山都町周辺にまたがる九州山地の高山地帯や、長崎県の普賢岳でも樹氷を見ることができる。黄砂が到達し始める春先には、冬季に白色だった樹氷林がやや黄色味を帯びる。ドイツのシュヴァルツヴァルトでも見られる。
樹氷は本来「海老の尻尾」を指す気象用語であるが、1920年代前半に蔵王でスキー合宿を行っていた第二高等学校 (旧制)と東北帝国大学の学生らが「雪の坊」を巨大な「樹氷」と勘違いして呼んだことが発祥であることが樹氷発見から100年の節目に当たる2014年に山形大学が実施した調査で判明した。また円谷英二が撮影した映画「新しき土」の蔵王ロケのシーンでも「樹氷」の呼び名が使われたため、全国的に広まったという[6]。
樹氷(スノーモンスター)八ヶ岳・硫黄岳にて
秋田県 森吉山・樹氷平
山形県 蔵王・地蔵山付近
三重県・奈良県 高見山
樹氷。ドイツ・シュヴァルツヴァルト。
粗氷
粗氷(そひょう、英: hard rime)は、過冷却水滴からなる濃霧が地物に衝突し、凍結付着した氷層のうち、半透明のものをいう[3]。樹氷よりも硬いが、大抵は手で触ると崩れる程度である。樹氷に比べ氷の粒が大きく、粒同士が融合して大きな氷の塊を形成する場合もあるが、気泡を多く含むため透明にはならず半透明にとどまる。気温-4℃以下で風速が毎秒20メートル以上のときに生じる[1]。
寒い地方では平地でも見られるが、九州地方でも雲仙岳で見られる。過冷却の雲の中を通過する飛行機では、機首や翼などに粗氷が付着することもあり、相対的な風向が直角になる面で発達する。
長崎県 雲仙岳
電子顕微鏡写真。粗氷には「太鼓型」の結晶構造を持つものが存在する
樹霜
樹霜(じゅそう)は、空気中の水蒸気が昇華して樹枝などの地物に付着した樹枝状ないし針状の結晶である[3]。霜と同じ原理であるが、層状に発達し、特に樹木などに付着したものをこう呼ぶ。
樹霜
結晶構造が目立つ樹霜 ドイツ南部 メッティンゲン
脚注
出典
- ^ abc小口、1951年 (1)
- ^ ab小口、1951年 (2)
- ^ abcd気象庁、1998年
^ 小口、1951年 (3)
^ 白山初 アイスモンスター - 北陸中日新聞
^ 蔵王の「樹氷」命名は東北帝大生 山形大の研究で判明[リンク切れ] - 河北新報
参考文献
- 小口八郎「着氷の物理的研究 Ⅰ 顕微鏡的構造による着氷の分類」、『低温科学』第6巻、1951年、 95-101頁、 NAID 110001825519。
- 小口八郎「着氷の物理的研究 Ⅱ 着氷の気象条件について」、『低温科学』第6巻、1951年、 103-115頁、 NAID 110001825525。
- 小口八郎「着氷の物理的研究 Ⅲ 着氷の密度について」、『低温科学』第6巻、1951年、 117-123頁、 NAID 110001825528。
- “気象観測の手引き 平成10年9月 (PDF)”. 気象庁 (1998年). 2013年1月6日閲覧。
関連項目
- 霜
- 雨氷
- 着氷
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