ボヘミアン・ラプソディ
「ボヘミアン・ラプソディ」 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
アメリカの蓄音記録の赤い側のラベル | ||||||||
クイーン の シングル | ||||||||
初出アルバム『オペラ座の夜』 | ||||||||
B面 | アイム・イン・ラヴ・ウィズ・マイ・カー | |||||||
リリース | 1975年10月31日 | |||||||
録音 | 1975年 | |||||||
ジャンル | プログレッシブ・ロック ハードロック プログレッシブ・ポップ | |||||||
時間 | 5分55秒 | |||||||
レーベル | EMI (UK) ハリウッド・レコード (US) | |||||||
作詞・作曲 | フレディ・マーキュリー | |||||||
プロデュース | ロイ・ベイカー | |||||||
ゴールドディスク | ||||||||
プラチナム | ||||||||
チャート最高順位 | ||||||||
| ||||||||
クイーン シングル 年表 | ||||||||
| ||||||||
|
「ボヘミアン・ラプソディ」(Bohemian Rhapsody)は、クイーンが1975年10月31日に発表した楽曲。作詞・作曲は同グループのボーカリスト、フレディ・マーキュリー。
目次
1 概要
2 曲構成
3 担当
4 プロモーションビデオ
5 チャート
5.1 週間チャート
5.2 年間チャート
5.3 10年間チャート
5.4 売り上げ・資格
6 カバーとコラボレート
7 楽曲が使用された作品
8 脚注
8.1 注釈
8.2 出典
9 関連項目
10 外部リンク
概要
クイーンの4枚目のアルバム『オペラ座の夜』に収録。製作初期段階では16分の長さであった。[1]演奏時間が約6分と長すぎるために、内部で議論となったが、同年にそのままシングルカットされ[2]、世界中で大ヒットした。本国イギリスの全英シングルチャートでは9週連続1位を獲得、アメリカのビルボード誌では、1976年4月24日に週間最高9位を獲得。ビルボード誌1976年年間ランキングは18位。ローリング・ストーンの選ぶオールタイム・グレイテスト・ソング500では163位。2010年現在この曲はイギリスでは、エルトン・ジョンの『キャンドル・イン・ザ・ウインド1997』、バンドエイドの『ドゥ・ゼイ・ノウ・イッツ・クリスマス?』に次ぐ歴代3位のセールスを記録している[3]。クイーンの楽曲としては珍しく、歌詞中にタイトル(Bohemian Rhapsody)が一切登場しない。
同時にプロモーションビデオも製作された。明確な意味でのプロモーションビデオとしては世界初と言われる。また、TV出演のスケジュールが合わなかったため急遽制作され、出演できないかわりにこのビデオを流した。撮影は約2時間で終了した。その視覚的重要性を、当時の業界関係者や、他のミュージシャンらに認識させることとなった。さらに、HIV合併症が元でフレディが死去した直後の1992年には映画『ウェインズ・ワールド』の挿入歌として再びヒットし、同じく多くの国々で1位となる。この時の印税は、エイズ基金などの研究機関や関係慈善団体などに寄付された。
2002年にはギネスブックを発行しているギネス・ワールド・レコーズ社が3万1000人以上から取った「英国史上最高のシングル曲は?」というアンケートの結果、「イマジン」(ジョン・レノン)や「ヘイ・ジュード」「イエスタディ」(ビートルズ)を抑えて1位になり、授賞式にはロジャーとブライアンが出席した。
その後、2004年にはグラミー殿堂賞を受賞[4]し、2018年にはYouTubeやSpotifyなどのストリーミングサービスでの再生回数が16億回に到達し、20世紀に発表された楽曲の中で全世界で最もストリーミング再生された楽曲となった[5][6]。
曲構成
曲の構成は冒頭から順に
- アカペラ
- バラード
- オペラ
- ハードロック
- バラードである2.の延長
となっている。
ヒットしたためにステージでのライヴ演奏が要求されたが、バンドのメンバー4人だけでの通奏や完全再現は不可能であった。初期のステージでは分割した形で、2. と 4. とをそれぞれ、別々の曲と組み合わせた、メドレー形式として演奏された。その後、中期以降においては、ほぼ1曲通して演奏されることとなったが、1. は省略して、2. のイントロ相当部分のフレーズの繰り返し、ないしは独自のピアノ弾き語り部分を、冒頭に付加して行われた。3. はテープのみを流し、その間に、衣装を変えて再登場して4.以降をライヴ演奏するなどの視覚的効果も加えられた。
1985年に行われたライヴエイドでは、1曲目として2.のみが演奏され、ブライアンによるギターソロからそのまま流れるように次の曲である「RADIO GA GA」に移った。
クイーン+ポール・ロジャースのステージでは、1. は省略、2. はフレディ・マーキュリー存命時のライヴのヴォーカル・トラックに合わせた演奏(スクリーンにもフレディの姿が映し出された)、3. はテープ、4. 以降ポール・ロジャースも加わるという構成だった。クイーン+アダム・ランバートのステージでは、1. は省略、2. は1番はアダム・ランバート、2番はアーカイブ映像によるフレディ、3. はテープ、4. は再びアダム、5. はフレディとアダムのデュエットという構成になっている。
関係スタッフの証言によると、この曲の録音は、24トラックレコーダーを使用して行われた。NHK放送のドキュメンタリー「ボヘミアン・ラプソディ殺人事件」[7]ではマスターテープの実物が画面に映し出され、24トラックとの解説が行われている。(当時は16トラック録音が主体であった[8])。
キーポイントでもあり、ライヴ再現での最大の障害ともなっている 3. のコーラスの録音は、ドラムセット、ピアノ、ベース、ギター等のバッキング・トラック、フレディのリードボーカルと、ミックスされない仮歌のトラックを除く残りのトラックに、フレディ・マーキュリー、ブライアン・メイ、ロジャー・テイラーの3人が何度もオーバーダビングすることによって、約200人位の「声の効果」を出そうとしたものであり、実際にそれくらいの声が重ねられている。またダビングのし過ぎでテープが劣化し、テープを明かりに翳すと光が漏れて見えていたというエピソードが残されている[9]。このエピソードは、2018年に公開された本作と同名の映画でも触れられている。
担当
フレディ・マーキュリー - リード・ボーカル、バッキング・ボーカル、ピアノ、オペラティック・ボーカル(中音域)
ブライアン・メイ - エレクトリック・ギター、オペラティック・ボーカル(低音域)
ロジャー・テイラー - ドラムス、ティンパニ、ゴング、オペラティック・ボーカル(高音域)
ジョン・ディーコン - ベース[10][11]
プロモーションビデオ
世界初と言われる[12]プロモーションビデオは序盤と終盤は演奏シーンで、冒頭と中盤のオペラ部分ではメンバーが『クイーン II』のジャケットを彷彿とする暗闇の中で歌うというミステリアスな世界観が描き出されている。このプロモーション・ビデオは音楽界に衝撃を与え、多くのパロディ作品が作成された。メンバーが暗闇の中で並んでいるシーンはもはやクイーンの代名詞的な存在となり、「RADIO GA GA」や「ワン・ビジョン」などのクイーンの楽曲のプロモーションビデオの一部にも登場している。
チャート
|
チャート (1975年) | ピーク |
---|---|
UK Singles (Official Charts Company)[13] | 1 |
チャート (1976年) | ピーク |
---|---|
カナダ (RPM 100)[14] | 1 |
オランダ (Single Top 100)[15] | 1 |
ニュージーランド (Recorded Music NZ)[16] | 1 |
US Billboard Hot 100[17] | 9 |
チャート (1991年) | ピーク |
---|---|
UK Singles (Official Charts Company)[18] | 1 |
チャート (1992年) | ピーク |
---|---|
US Billboard Hot 100[17] | 2 |
年間チャート
チャート (1975年) | 順位 |
---|---|
イギリス[要出典] | 22 |
チャート (1976年) | 順位 |
イギリス[要出典] | 35 |
アメリカ[19] | 18 |
チャート (1991年) | 順位 |
イギリス[20] | 2 |
チャート (1992年) | 順位 |
イギリス[要出典] | 15 |
アメリカ[21] | 39 |
10年間チャート
チャート (1970–79年) | 順位 |
---|---|
イギリス[22] | 7 |
チャート (1990–99年) | 順位 |
---|---|
イギリス[要出典] | 23 |
売り上げ・資格
国/地域 | 認定 | 認定/売上枚数 |
---|---|---|
イタリア (FIMI)[23] | Gold | 25,000* |
イギリス (BPI)[24] | 2× プラチナ | 2,300,000[25] |
アメリカ合衆国 (RIAA)[26] | ゴールド+ゴールド | 3,609,000[27] |
合計: | 5,934,000 | |
*認定のみに基づく売上枚数 |
カバーとコラボレート
1992年のフレディ・マーキュリー追悼コンサートではエルトン・ジョンとアクセル・ローズが歌った。バラード部分はエルトン・ジョン、ロック部分はアクセル・ローズが歌い、最後にエルトンとアクセルが一緒に歌うという構成。
日本では聖飢魔IIのヴォーカリストのデーモン閣下が、『タモリの音楽は世界だ!』『ROCK FUJIYAMA』などのTV出演時に独唱でこの曲を歌っている。また、グッチ裕三は『ハッチポッチステーション』のコーナー「ハッチポッチMTV」で童謡『犬のおまわりさん』とクロスオーバーさせている(バラード以降のダイジェストを替え歌で構成)。このコーナーではPVの映像を演出に至るまで丁寧に再現している。
- 1980年代
Bad Newsが1987年にブライアン・メイのプロデュースでパロディ・バージョンとしてカバーしている。
エレイン・ペイジが1988年のアルバム『The Queen Album』でカバーしている。
- 1990年代
アル・ヤンコビックが1993年のアルバム『Alapalooza』でポルカバージョンの「Bohemian Polka」を歌っている。- トルヴェール・クヮルテット(サクソフォン四重奏団)が1994年のアルバム「イノセント・ドールズ」でカバーしている。
ドリーム・シアターが1995年のアルバム『ア・チェンジ・オブ・シーズンズ』のメドレー曲「The Big Medley」でカバーしている。
モンセラート・カバリェとブルース・ディッキンソンが1997年のアルバム『Friends for Life』でカバーしている。
フェイ・ウォンが1998年のコンサートツアーでカバーしている。
- 2000年代
Folderが2000年のアルバム『7 SOUL』でカバーしている。
カリフォルニア・ギター・トリオが2000年にアコースティック・ギター3本による演奏でカバーしている。
ラッセル・ワトソンが2002年のアルバム『リプライズ 〜ザ・ヴォイス3』でカバーしている。
グレイ・デリスルが2005年のアルバム『Iron Flowers』でカバーしている。
ザ・フレーミング・リップスが2005年のアルバム『Killer Queen: A Tribute to Queen』でカバーしている。- ミュージカル「ウィ・ウィル・ロック・ユー」のキャストのコンスタンチン・マルーラが2005年のアルバム『Killer Queen: A Tribute to Queen』でカバーしている。
RAG FAIRが2005年の武道館におけるライブでアカペラでカバーし、その後、日本テレビのバラエティー番組などでも披露している。
Edgar Cruzが2005年の『Arranging for Solo Guitar/The Queen Titles』でソロ・アコースティック・ギターバージョンでカバーしている。
栗コーダーカルテットが2006年のアルバム『Ukulele Kurikocer』に収録[28]。
Moymoy Palaboyが2007年に口パク動画でカバーしている。
Newton Faulknerが2007年からアコースティックでのカバーを披露している。
Emilie Autumnが2008年のアルバム『Girls Just Wanna Have Fun & Bohemian Rhapsody』でカバーしている。
ラヤトンが2008年のアルバム『Rajaton sings Queen with Lahti Symphony Orchestra』でラハティ交響楽団の伴奏でカバーしている。
P!nkが2009年にアルバム『ファンハウス』のツアーでカバーし、のちにDVD『Funhouse Tour: Live in Australia』に収録。
- 2010年代
Never Shout Neverが2010年のアルバム『Punk Goes Classic Rock』でカバーしている。
ジェイク・シマブクロが2010年のアルバム『I ♥ UKULELE』でウクレレのインストゥルメンタルでカバーしている。
ウィリアム・シャトナーが2011年のアルバム『Seeking Major Tom』でカバーしている。
Pusciferが2013年のEP『Donkey Punch the Night』でカバーしている。
パニック!アット・ザ・ディスコが2014年の「The Gospel Tour」でカバーし、2016年の映画『スーサイド・スクワッド』のサウンドトラックに収録。
レイク・ストリート・ダイヴが2015年のハロウィーン企画でカバーし、映像を公開している[29]。
ビトウィーン・ザ・ベリード・アンド・ミーが2015年の「The Coma Ecliptic Tour」でカバーし、2016年のEP『Bohemian Rhapsody / Vertical Beta 461』に収録。
翠千賀が2017年8月2日発売『テレビ東京系「THEカラオケ★バトル」 BEST ALBUM II』でカバー。- Nightwalk Early Covers 『Bohemian Rhapsody』でカバー 最後に Knights of Cydoniaをアウトロリフ
楽曲が使用された作品
- TV作品
- SAMBA・TV
- CM
- トヨタ・プロナード
- 映画
- ウェインズ・ワールド
- ボヘミアン・ラプソディ (映画)
- 劇場予告編
神さまの言うとおり[30] (2014年)
スーサイド・スクワッド (2016年)
脚注
注釈
出典
^ NHK BS 世紀を刻んだ歌・ボヘミアン・ラプソディ殺人事件(2002年4月10日)元クイーン担当プロモーターエリック・ホール談
^ B面はロジャー・テイラー作の「アイム・イン・ラヴ・ウィズ・マイ・カー」で、アルバムバージョンの冒頭に部分に効果音が付加されたバージョン
^ Corn, John (2005). Britain Since 1948. Folens Publishers. p. 24. ISBN 1-84303-985-0.
^ “Grammy Hall of Fame Award”. Grammy.com (2004年). 2013年3月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年12月22日閲覧。
^ “「Bohemian Rhapsody」が20世紀の楽曲で最もストリーミングされた曲に”. uDiscoverMusicJP (ユニバーサルミュージックジャパン). (2018年12月11日). https://www.udiscovermusic.jp/news/queens-bohemian-rhapsody-streamed 2018年12月22日閲覧。
^ Thompson, Simon. “Queen's 'Bohemian Rhapsody' Is Officially The World's Most-Streamed Song” (英語). Forbes. 2018年12月22日閲覧。
^ NHK BS 世紀を刻んだ歌・ボヘミアン・ラプソディ殺人事件(2002年4月10日)出演:西田尚美
^ 『オペラ座の夜』30周年記念盤のインタビューでブライアン・メイは「当時は16トラックだった」と語っている。
^ Directed by Matthew Longfellow (2006年3月21日). A Making of 'A Night at the Opera' (DVD). Classic Albums.. https://www.imdb.com/title/tt0833880/ 2018年12月22日閲覧。
^ “Bohemian Rhapsody: Song Analysis”. Queen Songs.info. Retrieved 22 December 2018
^ Bohemian Rhapsody: Studo info. Queen Songs.info. Retrieved 22 December 2018
^ グレッグ・ブルックス 『フレディ・マーキュリーア・ライフ、イン・ヒズ・オウン・ワーズ』、シンコーミュージック・エンタテイメント、2007年、ISBN 978-4401630981
^ "Official Singles Chart Top 100". UK Singles Chart.
^ “RPM Top Singles”. RPM 25 (5). (1976年5月1日). http://www.collectionscanada.gc.ca/rpm/028020-119.01-e.php?andfile_num=nlc008388.4125aandtype=1andinterval=20andPHPSESSID=m89iq841abagb37ld9c0fdc1f3 2010年6月23日閲覧。.
^ "Dutchcharts.nl – Queen – Bohemian Rhapsody" (in Dutch). Single Top 100.
^ "Charts.org.nz – Queen – Bohemian Rhapsody". Top 40 Singles.
- ^ ab"Queen Chart History (Hot 100)". Billboard.
^ “bohemian rhapsody/these are the days of our lives”. 2018年11月11日閲覧。
^ “Billboard Top 100 – 1976”. 2011年5月11日閲覧。
^ “End of year charts 1991”. Everyhit. 2011年5月28日閲覧。
^ “Billboard Top 100 – 1992”. 2010年8月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年7月30日閲覧。
^ “End of decade charts”. Everyhit. 2011年5月28日閲覧。
^ "Italian single certifications – Queen – Bohemian Rhapsody" (Italian). Federazione Industria Musicale Italiana. 20 December 2012閲覧. CS1 maint: Unrecognized language Select Online in the field Sezione. Enter Queen in the field Filtra. The certification will load automatically
^ "British single certifications – Queen – Bohemian Rhapsody". British Phonographic Industry. Enter Bohemian Rhapsody in the field Keywords. Select Title in the field Search by. Select single in the field By Format. Select ' in the field By Award. Click Search
^ “Digital generation pushes the oldies into the million-sellers club”. Music Week. (2010年9月6日). http://www.musicweek.com/news/read/digital-generation-pushes-oldies-into-the-million-sellers-club/043509 2012年6月6日閲覧。.
^ "American single certifications – Queen – Bohemian Rhapsody". Recording Industry Association of America. 22 March 2012閲覧. If necessary, click Advanced, then click Format, then select Single, then click SEARCH
^ Grein, Paul (2011年10月5日). “Week Ending Oct. 2, 2011. Songs: Gone But Not Forgotten”. Yahoo! Music. 2012年5月10日閲覧。
^ 『Ukulele Kurikocer』JAN 4988102266653
^ Bohemian Rhapsody - Lake Street Dive
^ 劇場上映版予告編のみ。
関連項目
狂詩曲 - ラプソディの定義・解説
アルベール・カミュ - 「異邦人」の著者
猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」 - ももいろクローバーZによる、ボヘミアン・ラプソディのオマージュ作品「DNA狂詩曲」を収録
ベルゼブブ - 歌詞の中に登場する悪魔
外部リンク
- Official YouTube videos:
- Original music video
- Live at Wembley
- Queen Play Rock Band Live At Wembley Stadium
Freddie Mercury Tribute Concert (with Elton John and Axl Rose)
- Lyrics at Queen official website
|