ロールフィルム






35ミリ映画シネフィルム




左から
135フィルムのパトローネ
127フィルム
120フィルム
右手前は127フィルムのスプール


ロールフィルム(英語: Roll film )は、軸に巻きつけた帯状の写真フィルムの総称である[1][2]。対義語は、同フィルムの発明でレトロニムとなったシートフィルムである[3]。それまでの乾板やシートフィルムと異なり、カメラへの1回の装填で複数枚の写真撮影が可能となった[3]


狭義には、スプール(巻き軸)に巻かれたままパトローネに入れられていないものを指し、この場合は135フィルムや110フィルム(ワンテンフィルム)、APS(アドバンストフォトシステム)と差別化する語となる[1]。ここではこの語を広義のまま取り扱い、具体的には135フィルムや120フィルム、220フィルム、127フィルムなどがある。


映画用フィルムもロール状であり原理的には同様であるが、この語の範疇にはない。




目次






  • 1 略歴・概要


  • 2 ロールフィルム番号の一覧


  • 3 番号外のロールフィルムの一覧


  • 4 脚注


  • 5 参考文献


  • 6 関連項目


  • 7 外部リンク





略歴・概要


1881年、アメリカ合衆国ウィスコンシン州カンブリア(英語版)の農民ピーター・ヒューストンが、世界初のロールフィルム写真機を発明、弟デイヴィッド・ヘンダーソン・ヒューストン(1841年6月14日 - 1906年5月6日)が特許登録を行なった[4][5]。硬質ではない柔軟なロールフィルムのための最初のホルダーを発明したのは、同地でのことであった[4][6]。ヒューストンはすでに1880年にダコタ準州ハンター(英語版)(現在のノースダコタ州ハンター)に転居しており、翌年10月11日、カンブリア在住のデイヴィッドに対し、ロールフィルム・ホルダーの特許(米国特許第248,179号、特許名 PHOTOGRAPHIC APPARATUS)が登録されたのであった[5][7]。デイヴィッドは、1886年にこれを改良更新しており[8]、その特許権をすべて、すでに1888年にボックスカメラ(英語版)にこの発明を使用していたコダックの創立者、ジョージ・イーストマンに対し、翌1889年に5,000ドルで売却している[4][9][10]。デイヴィッドは写真機の開発を続け、最初の発明から1902年までの間に、写真機と部品についての21の特許を得ている[4][9]。デイヴィッドの特許の残余は、1912年にイーストマンに譲渡された[4]


ロールフィルムは安価なスナップ写真用の写真機のために選択される規格として1950年代末まで中心的に使用され、もっとも一般的であったのは小型カメラ用の127フィルムと828フィルム、中判カメラ用の120フィルムと116フィルムであった。ロールフィルムは、職業写真家のためのスウェーデン製の高級写真機ハッセルブラッド等にも使用された。スナップショット用写真機に使用されるフィルムは、その後、パトローネ入りのフィルムである135フィルムや126フィルムにとって代わられたが、120フィルム、220フィルムが中判カメラ用として残った。



ロールフィルム番号の一覧


コダックが定めたおもなロールフィルム番号の一覧である[11]。他メーカーによる呼称、日本語での呼称も存在する[11]。生産開始・生産終了は、コダックによるものであり、他社からは生産が続行しているものも存在する[11]
























































































































































































































おもなコダック式ロールフィルム番号
番号 生産開始 生産終了 画面サイズ(センチ) 備考
35
1916年 1933年1月 3.175×4.445
101
1895年 1956年7月 8.89×8.89
102
1896年 1933年9月 3.81×5.08
103
1896年 1949年3月 9.525×12.065
104
1897年 1949年3月 12.065×9.525
105
1897年 1949年3月 6×9
フォールディングポケットコダックの規格

110
1971年 現行 1.3×1.7
ポケットインスタマチックの規格、1898年 - 1929年に同番号の別規格があった。2009年9月に富士フイルムが生産を終了した事で一旦市場から姿を消したが、2012年にLomographyが復活させている。
115
1898年 1949年3月 17.145×12.065

116
1899年 1984年4月 6.5×11
No.1Aフォールディングポケット・コダックの規格
117
1900年 1949年3月 6×6
ザ・ブローニーの規格
118
1900年 1961年8月 8.255×10.795
119
1900年 1940年7月 10.795×12.065

120
1901年 現行 6×9
No.2ブローニーの規格、多種類のサイズがある
121
1902年 1941年11月 4.1275×6.35
122
1903年 1971年4月 8.255×13.97
123
1904年 1949年3月 10.16×12.7
124
1905年 1961年8月 12.065×10.795
125
1905年 1949年3月 12.065×13.97

126
1963年 1999年 2.6×2.6
インスタマチックの規格、1906年 - 1949年に同番号の別規格(10.795×16.51)があった

127
1912年 現行 4.1275×6.35
ヴェスト・ポケット・コダックの規格、現在かわうそ商店からカラーリバーサルフィルムのRerachromeと白黒フィルムのRerapanが販売されている。
128
1912年 1941年11月 3.81×5.715
129
1912年 1951年1月 4.7625×7.62
130
1916年 1961年8月 7.3025×12.3825

135
1934年 現行 2.4×3.6
レチナの規格、パトローネ入り

220
不明 現行 5.6×8.4
120フィルムの2倍の長さ

IX240
1996年 2011年 3.02×1.67
APSの規格、カートリッジ入り24mmフィルム

616
1932年 1984年5月 6.5×11 コダックシックス-16の規格

620
1932年 1995年7月 6×9 コダックシックス-20の規格、現在取り寄せではあるがみらいフィルムズにて620用スプールに巻き直されたフィルムが販売されている。

828
1935年 1985年3月 2.8×4.0 コダックバンタムの規格、現在みらいフィルムズにて828用スプールに巻き直されたフィルムが販売されている。


番号外のロールフィルムの一覧


コダックが定めたおもなロールフィルム番号の一覧[11]に存在しない、コダックが番号を定めなかったロールフィルムの一覧である。


















































































コダック式ロールフィルム番号外のおもなロールフィルム
名称 生産開始 生産終了 画面サイズ(センチ) 備考

ミノックスフィルム
1938年 現行 0.8×1.1 カートリッジ入り9.5mmフィルム

カラットフィルム(ドイツ語版)
1936年 1963年 2.4×3.6 アグフア(現在のアグフア・ゲバルト)の規格、カートリッジ入り35mmフィルム

ラピッドフィルム(ドイツ語版)
1964年 1990年代 2.4×2.4 / 2.4×3.6 / 2.4×1.8 アグフア・ゲバルトの規格、カートリッジ入り35mmフィルム

SLフィルム(ドイツ語版)
1958年 1990年 2.4×2.4 / 2.4×3.6 / 2.4×1.8
ORWOの規格、カートリッジ入り35mmフィルム

カセッテ16
1978年 1990年代 1.3×1.7 ORWOによるペンタコンK16のための規格、カートリッジ入り16mmフィルム

ボルタフィルム
1936年 1990年前後 2.4×2.4 / 2.4×2.8 裏紙付35mmフィルム

ミゼットフィルム
1937年 現行 1.4×1.4
美篶商会の規格、裏紙付17.5mmフィルム、2016年4月に田中商会が復活させた。
00ウニフェX
1933年 不明 3.81×2.86 ゲヴァルト(現在のアグフア・ゲバルト)の規格
16mmフィルム
1947年 1980年代 1.0×1.4
コーナン16、ミノルタ16 (Minolta 16、マミヤ16の規格、カートリッジ入り16mmフィルム
1960年 不明 1.2×1.7
ローライ16、エディクサ16(英語版)の規格、カートリッジ入り16mmフィルム


脚注




  1. ^ abロールフィルム、カメラマン写真用語辞典、コトバンク、2012年2月26日閲覧。


  2. ^ ロールフィルム、デジタル大辞泉、コトバンク、2012年2月26日閲覧。

  3. ^ abカメラマン写真用語辞典『シートフィルム』 - コトバンク、2012年2月26日閲覧。

  4. ^ abcdeNemenoff, Ben. “Houston, David Henderson”. nd.gov. 2010年5月30日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2010年9月5日閲覧。

  5. ^ abUS248179 (英語), Google Patents, 2012年2月26日閲覧。


  6. ^ Hammer, 序章、p.xv.


  7. ^ Beane, p.12.


  8. ^ US355084 (英語), Google Patents, 2012年2月26日閲覧。

  9. ^ abHammer, p.55.


  10. ^ Peres, p.78.

  11. ^ abcdHistory of Kodak Roll Film Numbers (英語), 2012年3月4日閲覧。




参考文献




  • History of the kodak and its continuations, Mina Fisher Hammer, The House of little books, 1940年。


  • The Focal encyclopedia of photography, Michael R. Peres, Focal Press, 4版、2007年4月25日 ISBN 0240807405


  • Flower, Christopher Beane; Anthony F. Janson, Artisan Books, 2008年5月 ISBN 1579653529



関連項目



  • 写真乾板

  • 写真フィルム

  • シートフィルム

  • ブローニー

  • ボルタフィルム

  • 110フィルム

  • 120フィルム

  • 126フィルム

  • 127フィルム

  • 135フィルム

  • 828フィルム

  • アドバンストフォトシステム



外部リンク




  • History of Kodak Roll Film Numbers (英語)

  • カメラマン写真用語辞典『ロールフィルム』 - コトバンク

  • デジタル大辞泉『ロールフィルム』 - コトバンク




Popular posts from this blog

Full-time equivalent

Bicuculline

さくらももこ