キャッサバ















キャッサバ

Manihot esculenta - Köhler–s Medizinal-Pflanzen-090.jpg
キャッサバ

Manihot esculenta 001.jpg
カサバイモ


分類

















































:

植物界 Plantae
階級なし
:

被子植物 angiosperms
階級なし
:

真正双子葉類 eudicots
階級なし
:

バラ類 rosids
階級なし
:

真正バラ類I eurosids I


:

キントラノオ目 Malpighiales


:

トウダイグサ科 Euphorbiaceae


:

イモノキ属 Manihot


:

キャッサバ
M. esculenta


学名

Manihot esculenta
Crantz

和名
イモノキ(芋の木)
英名

Cassava

























































































































































































































キャッサバ、生
100 gあたりの栄養価
エネルギー
667 kJ (159 kcal)

炭水化物

38.06 g

糖類
1.7 g
食物繊維
1.8 g

脂肪

0.28 g

飽和脂肪酸
0.074 g
一価不飽和
0.075 g
多価不飽和
0.048 g

タンパク質

1.36 g

トリプトファン
0.019 g
トレオニン
0.028 g
イソロイシン
0.027 g
ロイシン
0.039 g
リシン
0.044 g
メチオニン
0.011 g
シスチン
0.028 g
フェニルアラニン
0.026 g
チロシン
0.017 g
バリン
0.035 g
アルギニン
0.137 g
ヒスチジン
0.02 g
アラニン
0.038 g
アスパラギン酸
0.079 g
グルタミン酸
0.206 g
グリシン
0.028 g
プロリン
0.033 g
セリン
0.033 g

ビタミン

ビタミンA相当量
β-カロテン


ルテインと
ゼアキサンチン


(0%)
1 μg

(0%)
8 μg

0 μg


チアミン (B1)

(8%)
0.087 mg

リボフラビン (B2)

(4%)
0.048 mg

ナイアシン (B3)

(6%)
0.854 mg

パントテン酸 (B5)

(2%)
0.107 mg
ビタミンB6

(7%)
0.088 mg

葉酸 (B9)

(7%)
27 μg
ビタミンB12

(0%)
0 μg
コリン
(5%)
23.7 mg
ビタミンC
(25%)
20.6 mg
ビタミンD
(0%)
0 IU
ビタミンE
(1%)
0.19 mg
ビタミンK
(2%)
1.9 μg

ミネラル
ナトリウム
(1%)
14 mg
カリウム
(6%)
271 mg
カルシウム
(2%)
16 mg
マグネシウム
(6%)
21 mg
リン
(4%)
27 mg
鉄分
(2%)
0.27 mg
亜鉛
(4%)
0.34 mg
マンガン
(18%)
0.384 mg
セレン
(1%)
0.7 μg

他の成分
水分
59.68 g



  • 単位

  • μg = マイクログラム • mg = ミリグラム

  • IU = 国際単位



%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDIの割合。
出典: USDA栄養データベース(英語)




キャッサバのアミノ酸スコア[1][2]


キャッサバ(学名:Manihot esculenta)はキントラノオ目トウダイグサ科イモノキ属の熱帯低木。マニオクマンジョカカサーバとも呼ばれる。




目次






  • 1 概要


  • 2 品種


  • 3 生産


  • 4 歴史


  • 5 病気


  • 6 加工


    • 6.1 毒抜き


    • 6.2 料理




  • 7 工業原料としての利用


  • 8 cDNAライブラリ


  • 9 脚注


  • 10 関連項目


  • 11 外部リンク





概要


芋はタピオカの原料であり、世界中の熱帯にて栽培される。葉は5~10小葉からなり、茎は垂直に立ち上がる。茎の根元にはゆるい同心円を描いて数本の芋(根)が付く。芋は両端が尖った細長い形状である。



栽培はとても簡単で、茎を地中に挿すだけで発根、そのまま生育する。


作付面積あたりのカロリー生産量はあらゆるイモ類、穀類より多くデンプン質の生産効率は高い。しかし食用とするためには毒抜き処理が必要なことや、毒抜きのために皮や芯を除去した芋はその場で加工しなければ腐ってしまうなど、利用の制約が大きい作物でもある。食用以外の利用範囲も広く、葉を発酵させて毒抜きし飼料として利用するほか、アルコール発酵によるバイオ燃料(バイオマスエタノール)製造も注目を浴びている。農作物としては、悪環境下(乾燥地、酸性土壌、貧栄養土壌)でも生育可能など、これまで農地とされなかった場所での栽培ができ、食糧問題や地球温暖化問題の解決への期待が大きい[3]


なお、熱帯の都市では緑地帯の植え込みにも利用され、室内での観葉植物としても利用価値がある。観賞用の斑入りの葉の品種もある。



品種


大きく分けて、苦味種甘味種がある。


苦味種は、シアン化合物(青酸配糖体)のリナマリン(linamarin) とロトストラリン(lotaustralin)を外皮に多く含むが、大きな塊根を作るため、デンプン源作物として栽培される。甘味種は、毒抜きを行いふかしたり茹でたりすることで、食用にされる。味と食感は甘味の少ないサツマイモに似ている。



生産


2010年時点の全世界の生産量は2億2954万トンで、州別ではアフリカ州が1/2強、アジア州が1/4強を占め、残りが南アメリカ州である。




  1. ナイジェリア 16.3% 3750万トン


  2. ブラジル 10.6% 2435万トン


  3. インドネシア 10.4% 2391万トン


  4. タイ 9.6% 2201万トン


  5. コンゴ民主共和国 6.6% 1505万トン


  6. アンゴラ 6.0% 1386万トン


  7. ガーナ 5.9% 1350万トン


  8. ベトナム 3.7% 852万トン


  9. インド 3.5% 806万トン


  10. モザンビーク 2.5% 570万トン


上位10カ国の気候区分はほとんどがケッペンの気候区分でいう熱帯のサバナ気候 (Aw) 、インドネシアのみ熱帯雨林気候 (Af) である。アンゴラ南部のように温暖冬季少雨気候 (Cw) の地域では栽培されていない。


他のイモ類と比較すると、同年におけるジャガイモの全世界生産量は3億2418万トン、サツマイモは1億0657万トン、ヤムイモは4870万トン、タロイモは901万トンである(以上の統計数値は、FAOSTAT 2010年統計による)。



歴史


現在栽培されているキャッサバの原型となったことが分かっているM. e. flabellifolia亜種の分布は中央ブラジル西部を中心としており、ここで少なくとも1万年前には栽培が始まった[4]。しかし種全体としてはブラジル南部とパラグアイのあたりで発生したらしい。現存するキャッサバの全ては栽培種を祖先としている。メキシコ、タバスコ州のサンアンドレス遺跡から出土したキャッサバの花粉から、6600年前までにはそこでキャッサバが生育していたことが分かっている[5]。現存する最も古いキャッサバ栽培の証拠は、エルサルバドルにある1400年前のマヤ遺跡ホヤ・デ・セレンで見つかった[6]。食料用の作物としての有用性から、スペインによるアメリカ大陸の植民地化が始まる15世紀末までには南アメリカ北部、中央アメリカ南部、西インド諸島の人々の主食となっており、モチェ文化の鐙型注口土器など、コロンブス以前に作られた工芸品のモチーフともされた。スペイン人とポルトガル人による植民地化後も栽培が続けられた。


17世紀に奴隷貿易が盛んになると、アフリカから新大陸までの月単位を要する輸送期間、奴隷を船内で生かしておく必要があった。ブラジルを支配していたポルトガル人は栽培が容易なキャッサバを奴隷貿易用の食料として採用し、アフリカを中心に全世界に広めた。ブラジル先住民はキャッサバやトウモロコシを主食としていたがポルトガル人が米を導入し、ブラジルでは17世紀頃初めて栽培され、キャッサバやトウモロコシともにブラジル人の主食となっていった。地域によるが、現在もキャッサバはブラジル人の食生活に欠かせない食材である。また、ブラジル以外の南米諸国ではユカと呼ばれ、アマゾン川流域を中心に重要な食材となっている。


一方、ポルトガル人によってキャッサバが伝えられたアフリカにおいても、伝播は急速に進んだ。もっとも早くキャッサバを受容したのはコンゴ川下流域にあったコンゴ王国付近であり、16世紀後半にはすでに盛んに栽培されるようになり、1650年ごろには独自の調理法が開発されたと考えられている。さらにコンゴ王国から内陸の地域においてもキャッサバは広く受け入れられ、19世紀後半にはコンゴ川流域のかなり広い地域に広がっていた。一方、西アフリカへの伝播はやや遅れ、18世紀に南アメリカの調理法とセットで広がることとなった[7]。キャッサバがアフリカに受け入れられた理由としては、やせた土地でも栽培でき、畑で長期保存が可能であり、作付けに手間がかからず収量が多いこと[8]、飢饉の際に現地の王によって奨励されたこと、奴隷貿易の際の保存食として広まったこと、現地の食文化にうまく適合したこと、そして20世紀に入ると拡大する都市へ食糧として供給するための商品として栽培が拡大したことなどが挙げられる[9]



病気


2000年代のアフリカでは、キャッサバに有害な褐色条斑ウイルスの発生が見られており、爆発的な拡大が生じた場合、収穫量の激減からなる食糧危機が発生するという懸念材料がある[10]。このため、抵抗性のキャッサバの開発など品種改良に向けた取り組みも行われている[11]



加工



毒抜き


有毒品種を含むキャッサバを安全に食べるために様々な方法があり、5つに大別される。



  1. 毒性が低い品種を選ぶ

  2. 水溶性である青酸配糖体を水に溶かして除く

  3. 青酸配糖体をキャッサバの細胞内酵素で分解する

  4. 青酸配糖体を微生物が持つ酵素で分解する

  5. 青酸配糖体を加熱により半分以下にする


そのうち 1. は甘味種の有毒な皮や芯を除くやり方で、生食されることも多い。また 5. は除毒法として不完全なのでここでは扱わない。2. はアフリカの熱帯域で見られるやり方で、芋を加熱してから小さく切り水にさらす方法である。南米では 3. がよく見られ、生芋をすり潰して一晩置き絞って除毒する。現在工業的な除毒法としても、伝統的な方法としても多く利用されているのは 4. である。好気発酵や嫌気発酵による除毒で、多種多様なやり方が知られている[12]




ファロファ



料理


キャッサバが栽培されている地域では、甘味種は根菜として扱われている。調理法は蒸す、茹でる、揚げるなど。薄くスライスしたキャッサバを揚げたキャッサバチップスも作られる。アフリカでは火を通したキャッサバをつぶしてウガリやフフが作られる。コンゴ川下流域ではペースト状にしたキャッサバを発酵させ、シクワングと呼ばれるちまき状の食品にして食べられる[13]。ブラジルでは、キャッサバの粉を炒めたファリーニャ(「製粉」という意味)といわれる粉を香ばしい食材として用いたり、同じくキャッサバの粉をバターやきざんだベーコンで炒めたファロファ(farofa)を肉料理のつけあわせによく添える。


また、キャッサバの粉を用いたパン(例:ブラジルのポン・デ・ケイジョ、ボリビアのクニャペやパラグアイのチパ)など、キャッサバ粉を用いた料理が庶民の食べ物として親しまれている。


根茎から製造したデンプンはタピオカと呼ばれ、球状の「タピオカパール」に加工してデザートの材料や飲み物のトッピングとして使われる。



工業原料としての利用


東南アジア(タイが主要国)などで栽培されたキャッサバは乾燥工程を経て「キャッサバチップ」へ加工され、中国などに輸出される。その後、中国では発酵工程を経てエタノール(バイオマスエタノール)となる。それを原料に氷酢酸とエステル化した酢酸エチルが、大量に生産されている(約80万MT/年)。中国で生産された酢酸エチルは年間約30万MT程度海外に輸出されており、有機化学分野では貴重な外貨獲得手段となっている。



cDNAライブラリ


理化学研究所の櫻井らはキャッサバをつかった実験により10,577種類のcDNAからなるcDNAライブラリを作成した。これは、様々な環境ストレスを与えたキャッサバから19,968種類のcDNAを単離し、その中から同定されたものである。ライブラリの中で4,621種類のcDNAはそれまでキャッサバでは知られていなかったcDNAで、環境ストレスを与えられたことにより獲得したものと考えられた[14][3]



脚注


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  1. ^ http://www.nal.usda.gov/fnic/foodcomp/search/


  2. ^ [『タンパク質・アミノ酸の必要量 WHO/FAO/UNU合同専門協議会報告』日本アミノ酸学会監訳、医歯薬出版、2009年05月。ISBN 978-4263705681 邦訳元 Protein and amino acid requirements in human nutrition, Report of a Joint WHO/FAO/UNU Expert Consultation, 2007]

  3. ^ ab世界最大規模:キャッサバ(タピオカ)完全長cDNA約11,000種を同定


  4. ^ Olsen, Kenneth M.; Schaal, Barbara A. (1999) "Evidence on the origin of cassava: Phylogeography of Manihot esculenta" in Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America (PNAS), Vol. 96, Issue 10, p. 5587 & 5590.


  5. ^ Pope, Kevin; Pohl, Mary E. D.; Jones, John G.; Lentz, David L.; von Nagy, Christopher; Vega, Francisco J.; Quitmyer Irvy R.; "Origin and Environmental Setting of Ancient Agriculture in the Lowlands of Mesoamerica", Science, 18 May 2001:Vol. 292. no. 5520, pp. 1370 - 1373.


  6. ^ University of Colorado at Boulder, (2007) "CU-Boulder Archaeology Team Discovers First Ancient Manioc Fields In Americas", press release August 20, 2007, accessed August 29, 2007.


  7. ^ 「バナナとキャッサバ 赤道アフリカの主食史」p552-553 小松かおり(「朝倉世界地理講座 アフリカⅡ」所収) 池谷和信、佐藤廉也、武内進一編、朝倉書店、2008年4月


  8. ^ 「バナナとキャッサバ 赤道アフリカの主食史」p554-555 小松かおり(「朝倉世界地理講座 アフリカⅡ」所収) 池谷和信、佐藤廉也、武内進一編、朝倉書店、2008年4月


  9. ^ 「バナナとキャッサバ 赤道アフリカの主食史」p552-559 小松かおり(「朝倉世界地理講座 アフリカⅡ」所収) 池谷和信、佐藤廉也、武内進一編、朝倉書店、2008年4月


  10. ^ “キャッサバに「植物のエボラ」の脅威迫る、研究者らが食料危機懸念”. AFP (2018年4月13日). 2018年4月13日閲覧。


  11. ^ “国際アグリバイオ事業団(ISAAA)アグリバイオ最新情報【2012年8月31日】”. 日経バイオテクオンライン (2012年9月13日). 2018年4月13日閲覧。


  12. ^ 安渓貴子, 2006, アフリカでのキャッサバの食べ方 —毒抜き法の体系的理解のために, 生態人類学会ニュースレター, No12


  13. ^ 「バナナとキャッサバ 赤道アフリカの主食史」p556-557 小松かおり(「朝倉世界地理講座 アフリカⅡ」所収) 池谷和信、佐藤廉也、武内進一編、朝倉書店、2008年4月


  14. ^ Sakurai, T.; Plata, G.; Rodriguez-Zapata, F.; Seki, M.; Salcedo, A.; Toyoda, A.; Ishiwata, A.; Tohme, J.; Sakaki, Y.; Shinozaki, K.; Ishitani, M. BMC Plant Biology 2007, 7. DOI: 10.1186/1471-2229-7-66




関連項目







  • タピオカ

  • カメルーンの歴史#奴隷貿易の始まり

  • ブラジル料理

  • バイオマスエタノール

  • 酢酸エチル



外部リンク



  • キャッサバ


  • 植物遺伝子材料カタログ理研 BRC 実験植物開発室

    • キャッサバ完全長cDNAクローンソース情報(Manihot esculenta Crantz)RIKEN BRC Experimental Plant Div データ提供:理研植物科学研究センター










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